Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-139

《行蔵註疏》の中で、捨波羅蜜を修習する「大身毛豎立行」

の物語がある。

ある時、菩薩は、富裕な貴族の家に生まれた。

成長した後、有名な師について、学んだ。

学んだ後、家に戻って両親の面倒を見た。

両親が亡くなった後、親戚が、彼に遺産を守る様に

かつ、更に儲けてくるように、と要求した。

しかしながら、一切の有為法(因と縁が和合する法)の

無常性を見透かした菩薩は、すべての三界に対して

恐れを感じていた。

彼はまた、身体の不浄を見透かしていたので、世俗の生活

における煩悩に、巻き込まれるのが嫌であった。

実際、長い間、彼はずっと、欲楽の世界から離脱したいと

思っていた。

故に、彼は自分の財産を放棄して、すぐに出家したいと

思った。しかし、彼は考えた。

「人々は、私が実践した捨棄を褒め称え、その為に、

私は有名になってしまう。」

彼は、有名になる事も、栄誉を受けることも好まな

かったので、結局は、出家を取りやめた。

彼は、己が世間的な変化、毀誉褒貶、例えば、得失などに、

全く動揺しないでいられるかどうかを試すために、

普段の服を着て家を離れた。

彼がこのように行動したのは、他人の悪意ある待遇を

忍受する事をもって、最も高度な捨波羅蜜を成就

したかったからである。

彼の困難を極める修行と行いは、人々にとっては、

彼が一人の懦弱な人間であるが故に、人に対して

怒らないように見えた。

彼が各地の、大小の村々をめぐる時、人々は皆彼に

無礼な対応をした。

というのも、皆、彼を尊敬に値しない人だと

思っていたから。

ある土地の住民が、彼に酷い待遇をすればするほど、

彼はそこに長く居続けた。服が破れた時、残った部分

で体を隠すようにしたが、その部分も破れてしまうと、

彼は他人がくれる服を着る事を拒み、そこいら辺に

ある物でもって身体をくるみ、続けて漫遊に出かけた。

長い日々が過ぎて、彼はあるに来た。

その村の子どもたちは非常に粗野であった。

幾人かの寡婦と皇族の子ども達は、非常に尊大で、

情緒は安定せず、くだらない話が好きだった。

彼らは、あちらこちらに出歩き、他人を愚弄した。

彼らは、虚弱な老人が道を歩いているのを発見すると、

後ろを着いて歩き、老人たちの背中に灰を撒いた。

彼らは、ある種の木の葉を老人の脇の下に入れ、

老人たちを痒がらせた。

老人が後ろを振り返って見ると、彼らは老人の歩く様子、

背を丸め腰を屈め、モゴモゴするのを模倣して、

人を愚弄する事を楽しんだ。

(+ )(= )訳者。(つづく)

(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)

中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)