<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
以下、野生の鹿を用いて「想顛倒」の説明をする。
ある農夫がいて、ある日、彼は大きな森の中にいた。
水田を耕して稲を植えた所、耕作者が田を離れた隙に、野生の鹿が来て、柔らかい稲の穂を食べた。
そのため、農夫は案山子を作って、それを田の中央に立てて、野生の鹿を驚かし、追い立てようとした。
彼は、縄で稲わらを縛って人の形にし、頭もあり、手もあり、足もあるように作った。
また、鍋の底に石灰を塗って白くして、人の顔を描いて、首の上に乗せた。
農夫は古い服を持ってきて、案山子に着せてやり、両手には弓矢を持たせた。
野生の鹿が、稲穂を食べるために、田に入ろうとした時、案山子を見て、本当の人間だと思って、慌てて逃げた。
この例においては、これらの野生の鹿は、以前に、人間を見たことがあり、彼らの記憶の中に、人のイメージが保持されている。
彼らの、当時の認識に基づいて、彼らは、案山子を、本当の人間だと、誤認したのである。
故に、彼らの認識・認知は、誤認・錯誤の認識・認知である、と言える。
「想顛倒」は、この野生の鹿のたとえ話の中に、明確に示されている。
このたとえ話は、非常に明確で、かつ容易に理解する事ができる。
(1-3につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<《Vipassanāハンドブック》(原題 Vipassanā Dipanī)
Ledī sayādaw著 中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>