南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

般若の独り言~正念と感情

昨日は<「正念」の定義が誤解されて伝わっている現状>をブログにあげました。

そこでは、正念は本来「業処を忘れない」という意味だ、と書きました。

Nimitta を得て禅定に入る為の、<正念の修行>に打ち込むと、己自身の感受・感情(苦・楽・不苦不楽)を顧みることがなくなります。

これはしかし、諸刃の剣のようで、人間、時々は、自分の感情に向き合った方がよい時もあります。

己の喜怒哀楽、自分はなぜこのようなシュチエーションで怒ってしまうのか?なぜこの事ばかりに執着するのか?

これらの事柄について、やはり、思考し、思惟し、分析する必要があります。

禅定& vipassanā を目指す為の「業処を忘れない」修行と、自分の中において縛られている所の、負の感情を解き放つ為の努力、その両方が必要だと思います。

それを天秤のようにバランスよく修習する事・・・修行者にはそのような<智慧>が必要です。

ゴータマ仏陀の教えは、対機説法であったと言われています。

一人一人、修行の処方箋は、みな異なります。

Aさんにとっての良薬は、Bさんには劇薬になるかもしれません。

指導者の言葉を鵜呑みにせず、己自身の心情や状況とバランスを取りながら、修行を進めて下さい。

仏法の実践に、早飲み込み、人まねは禁物です。

修行とは、一切を己自身が引き受けて、自己責任(誰を指導者に仰ぎ、何を学ぶのかという判断も含む)で実践するものだと思いますが、<智慧>と<精進>のバランスを、お忘れにならないようにお願いします。

   <緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>