<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
次に、《中部・各別經》(Anupada Sutta)及び、その
註釈と疏鈔では、名法を識別する時、禅修行者は、依処色及び所縁を、同時に識別する必要がある、と言う・・・
すなわち:
名法は依処色に依存して生起する;
名法は、所縁としての色法を、縁として取るのである。
《各別經》の註釈は、シャーリプトラ尊者が「各別法観法」(anupadadhamma viññāṇā)によって、逐一、初禅等のジャーナ法を観照する時(+の様子について)述べている:
vatthārammaṇānaṁ pariggahitatāya
ーー彼は逐一、名法を観照する事ができる。というのも、彼は、依処色及び所縁を、同時に識別したが故に。
ここにおいて、依処とは、眼、耳、鼻、舌、身と意の六門をいう事が、知れるのである。
上に述べた、二つの項目の教えによれば、あなたが色所縁(色塵)を、眼門の目標として取り、その為に、それに従って、意門と、純意門心路過程の名法が生起する時、あなたは先に、同時に、眼浄色と有分透明界、すなわち、眼門と意門の二者に注意を払わねばならないし、その後において、一粒または、多くの粒の色聚の、好ましい(iṭṭha)か、または好ましくない(aniṭṭha)色彩を、識別しなければならない。
この様にすれば、当該の色彩が、同時に、眼浄色と有分透明界(意門)を打つ(+のが了解できる)。
その時、色所縁を目標に取る、眼門と意門心路過程が、生起する。
もし、前者の確定心(votthapana)及び、後者の意門転向心(manodvārā vajjana)の確定作用に、如理作意が(yoniso manasikāra)具備されている場合、当該の所縁を、
(1)色彩、(2)色法、(3)無常、
(4)苦、(5)無我または(6)不浄
として確定する。この場合、生起した速行は善である。
もし、不如理作意(ayoniso manasikāra)が伴う時、当該の色所縁を、常、楽、我、浄などと確定するが、生起する速行は、不善である。
耳門、意門心路過程などもまた、概ね、上に述べた通りであるが、その差異は、(1)項の如理作意、すなわち:
声(=音)所縁を音と見做し、香所縁を匂いと見做す、という事である。
同様の理論でもって、声所縁(音塵)を目標とする名法を識別する時、あなたは先に、同時に、耳浄色と有分透明界(意門)の二者を識別し、その後に、声所縁を識別なければならない。
香所縁(香塵)を目標とする名法を識別する時、あなたは先に、同時に、鼻浄色と有分透明界(意門)の二者を識別し、その後に、香所縁を識別なければならない。
味所縁(味塵)を目標とする名法を識別する時、あなたは先に、同時に、舌浄色と有分透明界(意門)の二者を識別し、その後に、味所縁を識別しなければならない。
触所縁(触塵)を目標とする名法を識別する時、あなたは先に、同時に、身浄色と有分透明界(意門)の二者を識別し、その後に、一粒のまたは多くの粒の色聚の中の、地、水または風界、すなわち、触所縁を識別しなければならない。
法所縁に属する所の、色法を縁に取る名法を、識別する場合、あなたは同時に、有分透明界(意門)及び、任意のどれか一つの、法所縁グループの中の、色法を識別しなければならない。
遍相などの概念を目標とする、法所縁グループの名法を識別する時、あなたは同時に、有分透明界(意門)及び、当該の概念を、識別しなければならない。
眼門等の五門心路過程は、ただ一回のみ生起し、その後に、多くの意門心路過程が生起する。
そして、二つの心路過程毎の間には、多くの「有分心」が生起する。
一番目の意門心路過程の名は「彼随起意門心路過程」(tadanivattaka manodvāra vīthi)と言う。
二番目から始まる所の、意門心路過程の名は「純意門心路過程」(suddha manodvāra vīthi)と言う。
法所縁を目標に取る、意門心路過程はまた、純意門心路過程と言う。
《清浄道論》の教えに基づけば、あなたはこれらの心路過程の、一つひとつの心識刹那のすべての名法を、識別しなければならない。
《泡沫比喩經註》(Pheṇapiṇdūpama Sutta Com.)は以下の様に言う:
一瞬の瞬きにおいて、または一瞬の稲妻という、極めて短い時間の中において、心は、一万億回、生・滅する事ができる。すなわち、多くの心路過程が生起するのである。
それらの中において、あなたは、その中の幾つかのもを、識別することができるかもしれない・・・その他のものは、識別し難い。
あれら、あなたが識別する事が出来る所の、心路過程において、あなたは、四種類の名密集(nāma ghana)を、識別し、また、看破しなければならない。
(18-21につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijyubunko.sakura.ne.jp/index.html
<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版 中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>