<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
14.5 無上円満正覚
仏陀は引き続き開示して述べる:
「比丘たちよ。
私が、この三転12相四聖諦の如実知見に対して、いまだ充分に清浄でないならば、私は諸天、魔、梵天、諸々の沙門、婆羅門、諸天と人間の世間において、無上円満正覚を証悟したと宣揚することはない。
しかしながら、比丘たちよ。
ひとたび、私が、この三転12相四聖諦の如実知見に対して、完全に清浄であるならば、そのとき、私は諸天、魔、梵天、諸々の沙門、婆羅門、諸天と人間の世間に、無上円満正覚を証悟した事を宣揚する。
知見が私の心中に生起し、私は了知した:私の解脱は動揺することなく、これが私の最後の一生であり、私は未来において生まれ変わることがない。」
この三転12相に基づいて、四聖諦を了知する智慧は、彼が阿羅漢果を証悟した後に生起した。
仏陀の阿羅漢道智と一切知智(sabhaññutā-ñāṇa)は、同時に生起する。
同様に、あなたが観禅を修習して、四聖諦を了知する段階に到達した時、この三転12相を通して、四聖諦を了知しなければならない。
一つひとつの諦の、三種類の智慧の中で、諦智が最も重要である。作智と已作智は、証悟の後においてのみ、生じる。
15 憍陳如尊者
經文を続けて言う:
世尊は、この様に言うと、五比丘は、世尊の話に対して、歓喜と欣悦を感じた。
仏陀の開示は、ここで終わる。
しかし、《転法輪経》の經文は、いまさ終結せず、經を聞いた後の結果をいくつか述べている。
經文は以下の様に続く:
世尊が開示を終えると、憍陳如の心中に清浄で汚染の無い法眼が生じて、彼は見た:一切の生起する本質を有する法は、必ずや、滅するのであると。
上記のことは、特に生滅随観智の関して言っているのである:
生滅随観智(udayabbaya-ñāṇa)は、因縁の生・滅と、刹那生・滅を見ることができる。
聞くところによると、《転法輪経》を聞き終えた後、憍陳如尊者は、ソータパナ果を証悟したそうであるが、その時の彼の生滅随観智は、非常に安定したものであった。
それはどの様な智慧であるのか?
それは「一切の生起する本質を有する法は、必ずや、滅するのである」を了知する智慧である。
一人ひとりのソータパナ聖者は、必ずや、すでに徹底的に、五蘊(苦諦)と縁起(集諦)を了知しており、また、必ずや、それらは「行法」であるか、または「縁生法」(samudaya-dhamma、因縁に依存して、その和合により生じる法)であり、不断に生・滅する本質を擁していることを、すでに了知しているのである。
これらの行法の生・滅を知見する観智は「刹那生滅智」(khaṇato udayabbayañāṇa)と言う。
彼はまた、以下の事柄を観照しなければならない:
諸々の因が生起するが故に、五蘊が生起する;
諸々の因が無余に滅尽するが故に、五蘊が無余に滅尽する。
この種の智慧は、非常に堅固でなければならない。
何故であるか?
というのも、ソータパナ道智が涅槃を了知する時、涅槃は禅修行者の心を冷静にする。
涅槃の支援の下、彼の道智は、四聖諦を覆う無明を断じ除く。
あの無明は、ソータパナ道智によて消失したが故に、彼の「一切の生起する本質を有する法は、必ずや、滅するのである」を照見した所の智慧は、非常に堅固に安定する。
ここにおいて、私は、ソータパナ道智によって、すべての無明が消失するなどとは言わないのであって、ただ、四聖諦を覆っていた無明が消失しただけである、と言う、というのも、無明の完全なる消失は、阿羅漢道を証悟して初めて実現するが故に。
ある人が私に訊ねる:
どうして憍陳如尊者は、これほど快速に、果を証得することができたのか、と。
我々は、彼が、彼の過去世で累積した所の、波羅蜜について、考慮する必要がある。
勝蓮華仏(Bhddha Padumuttara)の時代から数えて、彼はすでに10万大劫の久しきに亘って、波羅蜜を修していた。
この様に深くて厚い波羅蜜を具備した人にとって、彼らが聖果を証悟する時、四無礙解智(paṭisambhidāñāṇa)を得ることができる。
四無礙解智の五項の要素に関しては、以前説明したが、過去仏の教化の時代に観禅を修して、行捨智の段階に到達していなければならない、というこの一項(+が重要で)ある。
過去のこれらの波羅蜜によって、彼は、四聖諦に関する法を聞いた時、特に苦諦法と集諦法の(+開示を聞いた)時、彼は、快速に苦諦法と集諦法を無常・苦・無我として領悟することができたのである。
(6-59につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等ほぼ原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijubunko.sakura.ne.jp/index.html
<中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>