Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)4-5

   <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

新しい生活が、始まった。

メーチ・ケーウは初日からすぐに、寺院の静かで安らかな生活のリズムに溶け入り、毎朝、日の明けない内から、起き出した。

彼女は、早朝三時には起床し、顔を洗い、冷たい水で、眠気を覚ました。

その後に蝋燭をつけて、茅葺小屋の側の、歩く瞑想のための小道に行き、修行した。

歩く瞑想は、一歩ごとに ”ブッーダ、ブッーダ・・・” と黙然するもので、心が完全に目覚めてから後、坐禅した。

彼女は不動の姿勢で、平静に一心に専注して座り、太陽が出て、朝が明けてから、急いで大殿に行き、他の出家者と共に、朝の勤行、読経をした。

軽やかで柔らかい読経の声が止むと、出家者たちは、何分か静かに思惟し、その後に、朝の勤めを終えた。

メーチたちは、屋外の厨房で煮炊きをし、いくつかの簡単なおかずを作り、僧たちが托鉢から戻ってくると、いくらか食べ物を補充してあげた。

メーチ・ケーウは、他の尼僧たちと一緒に、台所仕事を手伝うのが好きで、その後、皆で一緒に食事をした。

男性たちと同じように、メーチたちも、一日一食であった。

このような飲食の習慣は、禅の修行に都合がよかった。

食事の回数を減らし、食べる量を減らすことは、禅の修行に有益であった;

食べ過ぎると、心は遅鈍になりやすいし、食べることに貪欲で、いつも食べ物のことばかり考えるのは、道心を侵食する、毒素となった。

台所仕事が片付くと、その日はもう二度と食べ物のことで思い患う事はなく、禅の修行に専心でき、心身が軽くなった。

メーチたちは協力し合って、寺院全体を管理し、たとえば、煮炊きとか、清掃とかの寺務を、支えた。

毎日の午後、彼女たちは住居から出て来て、摂心し、念を住め保持しながら、よく撓る長い柄の、竹でできた箒を使って、茅葺小屋の周りと、それらを繋ぐ小道を、掃除した。

その後に、台所を掃除し、鍋や皿などを片付け、翌朝の食事のために、少しばかりの生米を鍋に放り込んで、水に漬けた。

それらが済むと、静かに井戸辺に行って、洗濯をし、沐浴をした。

夕方、皆で一緒に徒歩で大殿に行き、男性陣に混じって、夜の勤行をした。

読経の後、外は暗闇に包まれるため、彼女たちは長い蝋燭に火をつけて、各々の住まいに戻り、深夜まで、禅の修行に勤しんだ。

メーチ・ケーウは、一人で茅葺小屋で励んだが、彼女は、歩く瞑想と座禅を交互に実践し、昔、熟知した所の、非常に深い定の境地を、思い出そうとした。

20年前、アチャン・マンが村を離れてこのかた、彼女はずっと、人々と家族の為の仕事に、心を労していて、長い間、禅の修行をしていなかった。

そのようなことから、彼女は、精進の価値を、痛感した。

そして彼女は、禅の修行に集中し、心を稲田とみなして、田畑を一筋また一筋と梨で耕すように、仏陀仏陀と、一句また一句と念ずる度に、冷静にかつ明晰に、己が心を耕した。

(4-6につづく)

   <Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」 Dhammavamsa Publication

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>