南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)4-59

    <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 

一年また一年と時は過ぎ、メーチ・ケーウは変化の急流ーー諸行無常の法則ーーが、アチャン・マンの色身の上に、降臨したのを見た。

彼の心は依然として、ダイヤモンドのような光芒を四方に放っていたが、しかし、彼の身体の老化は速かった。

メーチ・ケーウは彼と、心霊上の密接な関係を、保持した。

女性専門道場が、アチャン・マンの森林寺院と、如何に多くの高山と深い幽谷に隔てられていても、夜、禅修行していると、メーチ・ケーウはいつも、彼が傍にいるように感じた。

彼の威儀は、荘厳で光明に溢れ、病気であるとは思えなかった。

メーチ・ケーウが、彼の寺院を辞した、あの乾季の後暫くして、彼は重い病気に罹り、病状は急速に悪化した。

彼が夜、彼女に会いに来る目的は、変更された。

彼の声には一種の、強烈な切迫感があり、メーチ・ケーウに、早く私に会いに来るようにと、きっぱりと促した。

もし、来ないならば、もはや会う機会は、ないのだ、と。

彼が死ぬかもしれないと考えると、メーチ・ケーウは、震え上がった。

彼女は当然、世間の本質ーー生の本質;死の本質ーー及びそれらの不確定性を知ってはいたものの、しかし、彼女は、この件に関しては、躊躇して決める事ができず、ズルズルと時間だけが過ぎて行った。

何度も何度も、禅相の中で、アチャン・マンは、彼女にすぐに会いに来るようにと警告した。

しかし、彼女は心の中で、彼が健康を取り戻す事を願い、彼の病状が重くて、死んでしまう等という事を、受け入れることができなかった;

もしかしたら、彼女が一心に修行した為、彼が自分を観察しに来ているのかも知れない、とも思ったし;

また、彼女の怠惰から出たことかもしれないが;

どのような理由なのかは兎も角、彼女は遅々として、アチャン・マンに会いに行く事をしなかった。

時々、彼女は尼僧たちに、もう一度長旅をしなければならないと訴えることはあったが、出立の日にちを、決めることはなかった。

その結果、何度も何度も、警告を受けていたにも関わらず、アチャン・マンが逝去したその日、メーチ・ケーウは、卉晒村にいた。

(4-60につづく)

    <Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」 Dhammavamsa Publication 

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

 

 

 

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