Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳『禅修指南』5‐12

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

《10種類の定力を育成する方法》

《清浄道論》では、10種類の、法の観察を通して、定力を育成する方法を、述べている。

すなわち:

順序よく、速すぎない、遅すぎない、干渉を避ける、

概念を超える、不明確なものは捨てる、諸々の相を明確に

識別する、及び《相経》(または《増上心經》Nimitta Sutta とも / Adhicitta Sutta、Aṅguttara Nikāya)、

《無上清凉経》

(Anuttarasītibhāva Sutta、Aṅguttara Nikāya)及び

《覚支経》

(Bojjhaṅga Sutta、Saṁyutta Nikāya)の方法によって修行する事を言う。

(5-13につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijyubunko.sakura.ne.jp/index.html

<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版

中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

翻訳『禅修指南』5‐11

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

今、あなたはこの、身体に遍満する 12種類の性質を識別する事に熟練した。

(+あなたにとって)それらが、明晰になった時、そして、それらが、同時に出現する様に感じられる時、あなたはそれらを、地、水、火、風の四つのグループに分けて、観ずる様にする。

あなたは、先の 6種類の性質を「地界」として識別し、同時に、流動と粘着を「水界」として識別し、次に熱さと冷たさを「火界」として識別し、支持と推進を「風界」と識別しなければならない。

あなたは、引き続きそれらを、地、水、火、風として識別しながら、心をして平静にならしめ、定力を獲得しなければならない。

この種の修習を不断に繰り返し、100回、千回乃至百万回、修行する。

この段階において、一種の実用的なよい方法がある:一つひとつの界は、同時に全身に遍満している。心を平静に保つために、以前に説明した様な、注意力を、身体の一部位からもう一つの部位に移動させるのではなくて、今は、同時に全身を遍照せしめればよい。

通常、最も良い方法は、両肩の後ろから全身を遍照するものであるが、しかし、頭の上から、下の方向に向かって全身を遍照しても良い。しかし、この方法は、ある種の禅修行者にとっては、身体の緊張を感じて、諸界のバランスを崩す様になるかも知れない(+ので注意が必要である)。

(5-12につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijyubunko.sakura.ne.jp/index.html

<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版

中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

 

翻訳『禅修指南』5‐10

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

《諸界のバランス》

この様に修行する時、ある種の禅修行者は、諸界におけるバランスを、失うことがある。

ある種の界が強すぎて(=強く感じ過ぎて)我慢できない程になる。

特に、硬さ、熱さと推進がそうである。

もし、この様な状況が生じたなら、あなたは、注意力を、過剰に強いものとは反対の性質の上に向け、かつ、引き続き定力を育成する(+様努力する)。

この様にすれば、諸界はバランスを取り戻す事ができるが、これが、なぜ、修習の最初に、12種類の性質を学ばねばならないのか、という答えである。

諸界がバランスする時、定力の育成も比較的容易になる。相対的な性質とは:

硬さと柔らかさ;

粗さと滑らかさ;

重さと軽さ;

流動と粘着;

熱さと冷たさ;

支持と推進である。

もし、(+上に表記した)一対の、その中の一個の性質が強すぎる時、相対する性質に注意を向けて、それをバランスさせる。

例えば:流動の性質が強すぎる時、粘着に注意を向ける:

また、支持が強すぎる時、推進に注意を向ける、等である。

(5‐11につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijyubunko.sakura.ne.jp/index.html

<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版

中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

翻訳『禅修指南』5‐9

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

(十一)「流動(+性)」を識別する為に、あなたは、唾液が口の中に入って行く流動、血管の中の血液の流動、空気が肺に入る時の流動、または熱気の全身における流動を、察知する様にする。

万一、流動の性質が明確でない時、流動を識別できる様になるまで、あなたは、それを識別すると同時に、冷たさ、熱さまたは、推進を識別しなければならない。

(十二)「粘着(+性)」を識別する時、あなたは身体が、皮膚、筋肉、腱によって、一括りに凝集している様を、察知しなければならない。

血液は、皮膚に囲まれて、身体内部で維持されているが、それはちょうど、気球の中の、水の様なものである。

もし、粘着の作用がないのであれば、身体は、破片または顆粒状に分裂する。

人体が地面に吸着している所の、地心(=地球の芯)の吸引力もまたは、粘着の作用による。

もし、粘着が不鮮明である時、あなたは全身における、前に述べた、10種類の性質を、繰り返し、逐一、識別しなければならない。

熟練した後、あなたは、粘着の性質が明確になっている事に、気が付くであろう。

万一、粘着が尚も不鮮明である時、あなたは繰り返し、ただ、推進と硬さの二種類の性質に関して、専注する様、修習しなければならない。

最後に、あなたは、全身が縄で括られている様な感じがしてくるが、これが粘着(+性)である。

全身における、頭から足裏まで、非常に明確に、12種類すべての性質を、識別出来る様になったならば、あなたは引き続き、この順序に従って、それらを識別しなければならない。

己自身が、この様に緻密に修習する事に、充分満足を覚えた後、あなたは、修習のその順序を、前に述べた様な順番で行う、すなわち:硬さ、粗さ、重さ、柔らかさ、軽さ、流動、粘着、熱さ、冷たさ、支持、推進である。

この様な順序で、頭から足裏まで、あなたが相当の速度、一分内に三回転するくらいに出来る様になるまで、逐一、一つひとつの性質について、識別しなければならない。

(5-10につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

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<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版

中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

翻訳『禅修指南』5‐8

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

(六)次に、舌でもって、唇の内部を押してみて、「柔らかさ」の性質を、感じる取る様にする。

その後、全身の柔らかさを遍照出来るまで、継続して、系統的に修習する。

その後、全身の推進、硬さ、粗さ、重さ、支持と柔らかさを、逐一識別する。

(七)次に唾液で以て、唇を湿らせ、その後において、舌でもって、左右にそれらをこすって、「滑らか」の性質を、感じ取る様にする。

継続的に、系統的に、全身の滑らかさを遍照出来るまで、修習する。

その後、全身における、上に述べた七種類の性質について、逐一識別する。

(八)次に、一本の指を、上下に移動させて、それの「軽さ」を感じ取る様にする。

全身の軽さを、遍照できる様になるまで修習した後、引き続き、全身の、上に述べた八種類の性質を、逐一識別する。

(九)次に、全身の「熱さ」(または暖かさ)を遍照する。通常、この識別は、非常に簡単である。

(十)次に、吸気の時に「冷たさ」を感じ取る様にする。その後に、系統的に、全身の「冷たさ」を遍照する。

ここまで、10種類を識別する事が出来た訳であるが、これらは、直接的に、触の察知から知り得た性質である、と言える。

しかし、流動(+性)と粘着(+性)という、この二種類の性質は、ただ、その他の、10種類の性質から推理してのみ、知り得る。

これが、なぜ、それらは、最後になってから、修習を開始するのか(+という質問に対する)答えである。

(5‐9につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

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<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版

中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

翻訳『禅修指南』5‐7

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

(三)その後、「粗さ」の識別に進む。舌でもって、歯に触り、舌で歯を摩擦してみる。

または、手の甲でもって、もう一つの手の甲をこする。

この様にすれば、粗さの性質を知る事ができる。

もし、粗さを感じ取る事ができないのであれば、推進(+性)と硬さの識別に戻る。

この様にすれば、粗さと推進と硬さが、共にある事をみることができる。

粗さをみる事ができた時、頭から足裏まで、逐一全身の推進、硬さと粗さを、満足のいくまで遍照する。

(四)次に、全身の「重さ」を識別する。

先に、両手を重ねて(+身体の)真中に置いて、足の上に載せる。そうすれば、上に置かれた手(ママ)に、重いという感覚が生じる。

または、頭を前に垂らして、その重さを体感する。

全身の重さを遍照できる様になるまで、系統的に修習する。

その後に、己自身が満足するまで、全身の推進、硬さ、粗さ及び重さという、四種類の性質に関して、それを逐一識別する

(五)次に全身の「支持(+性)」を遍照する。

先に、背中をリラックスさせて、少しばかり前かがみになる。その後に、身体を真っ直ぐに戻して、それを垂直に保持する。

身体を垂直にさせて、不動にさせる力は、すなわち、支持(+性)である。

頭から足裏まで、全身の支持(+性)を遍照できる様になるまで、継続的に、系統的に修習する。

その後に、全身の推進、硬さ、粗さ、重さ及び支持(+性)を逐一、識別する。

(5‐8につづく)

  <Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

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翻訳『禅修指南』5‐6

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

(一)「推進(+性)」の識別を開始する場合、呼吸する時の風大が、頭の中央を押す、その推進力に注意を払う。

もし、それを察知する事が難しいならば、吸気する時の、胸部または腹部の移動に、注意を向けてもよい。

もし、これらをも、察知するのが難しい時、心臓が躍動する事によって引き起こされる、脈拍の躍動に注意を払うこともできるし、他の何か、明確に知ることの出来る推進(+性)に、注意を払ってもよい。

というのも、移動が生じる時、すなわち推進が生じるが故に。

それを識別出来た時、あなたは、注意力をその近隣の部位の推進(+性)に移動させる。

例えば、頭部からゆっくりと推進(+性)を認識するとして、次には首、身体、手、足から足裏まで見ていく。

どこから開始するにしても、己自身の、それへの理解を、継続して不断に、ゆっくりと、向上させていき、やがて全身において、推進(+性)を見る事が出来る様にする。

ある部位では、それは非常に明確、明晰に見る事ができ、ある部位では比較的微細であったりするが、しかし、それは全身のそれぞれの部位に存在している。

身体の、どの部位の注意を向けても、非常に容易に推進(+性)を識別できる様になるまで、不断に繰り返し修習する。

(二)あなたが、推進(+性)を識別して満足する時、次に「硬さ」の識別に進む。

まず、歯において硬さを識別する:歯を噛みしめてみれば、その硬さを感じる事が出来るので、その後に噛みしめた歯を緩め、再度歯の硬さを確認する。

硬さを感じ取ることができたならば、系統的に頭から足裏まで、全身の硬さを遍照する。ちょうど推進(+性)と同じ様に修習するのであるが、しかし、全身を故意に硬くしてはならない。

全身の硬さを見る事が出来たならば、次に再度、全身の推進(+性)を遍照する。己自身が満足するまで、不断に何度も、繰り返し修習する。

(5-7につづく)

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