南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

パオ・セヤドー問答集~#223~228>問答(15)問15-14~15-19<戒学疑問篇>

☆11月より長期リトリートに入る為、公開の翻訳文が少し多くなっています。よろしくお願いいたします。

#223-150918

問15-14 仏陀はなぜ托鉢乞食したのですか?

答15-14 実際には、仏陀は托鉢乞食する必要はありませんでした。しかし、彼は衆生の利益の為に、はやり托鉢乞食をしました。また、聖者たちの模範として、托鉢乞食しました。托鉢乞食は、四聖種の内の一つです。四聖種とは、沙門は、飲食、衣服、住居、医薬品の四種類の生活用品について、知足でなければならない事を言います。托鉢は食物について知足する非常によい方法です。沙門は、どのような食物を貰えるかという期待はせず、他人がお布施してくれたどのような食物にも満足しなければなりません。托鉢はまた驕慢を克服する事ができます。比丘は自分の生活に必要な四種類の資具が、すべて他人の布施によるのだと知り、傲慢になってはいけないと自己を諌めます。故に、托鉢は心の鍛錬に有効です。

#224-150918

問15-15 出家した後に、父母の生活に問題が生じたなら、家に戻ってお世話する事は可能ですか?

答15-15 仏陀は自分の父母をお世話する事を許しています。比丘は、自分が托鉢で貰った食べ物や、自分が所有している生活用品を父母に分け与える事ができます。このような方式で父母のお世話をすればよいので、戒を捨てて還俗する必要はありません。

#225-150921

問15-16 脱税と脱税ほう助で得た利益は、偸盗戒に反しますか?在家の五戒に違反した場合、どのように懺悔して、引き続き持戒すればよいですか?

答15-16 《律蔵》によると、脱税と脱税ほう助は、25種類の偸盗行為の内の一つになります。出家者にとっても在家者にとっても、そのような行為は偸盗戒違反になります。もし、比丘が大銭(pāda。小銭māsaka5個分)1個、またはそれ以上を盗んだ場合、波逸提罪になり、比丘の資格を失います。

在家者が五戒(の内の一つ)を犯したならば、五戒全部を失う事になり、その為、懺悔をする必要はありませんが、二度と五戒を犯さないという決意する必要があります。あなたは、サーマネラ、比丘又は仏像の前で再度五戒を求め受けて、かつ、謹んで守るようにして下さい。

#226-150921

問15-17 問15-16で触れられた<五銭>というのは、現代の貨幣価値では幾らですか?

答15-17 古代インドで、1個のカハーパナが4個のパーダに相当し、1個のパーダが5個のマーサカに相当しました。それは金の重量と互換できるものでしたが、(金を計るのに)ルウェギシーという名の植物の種がオモリとして利用されていました。

(・・・中略・・・)。

古代インドの貨幣制度は、詳しい事は分かっていません。

どちらにせよ、偸盗戒を犯さないように気を付けて生活し、他人の所有物には不用意に手を触れないようにして下さい。

#227-150921

問15-18 卵を産む鶏を育てて(その卵を売る)商売をするのは正命、正業ですか?

答15-18 もし、人々が、純粋な慈悲の心で、何らの下心なく、鶏にエサをあげ、卵を売らないのであれば、問題はありませんし、よい行為だと言えるでしょう。しかし、彼らがその卵を売るならば、正命でもないし、正業でもありません。というのも、その卵には、受精しているものも含まれる可能性があるからです、たとえその確率が非常に少なくても。

#228-150921

問15-19 在家居士は、出家の方々に対して、どのように礼節を守りますか?

答15-19 在家居士は、出家者を敬い、出家者から仏法に関する説法を聞き、出家者に四種類の資具を供養し、学んだ仏法に基づいて、修行しなければなりません。いわゆる「仏法に基づいて修行する」とは、在家居士は少なくとも五戒を守り、かつ止禅と観禅(vipassanā)の修行に取り組む事を言います。

《長部・巴提迦経》(Dīgha Nīkāya、Pāthika Sutta)の中で:在家居士は、財産を四つ分けなさい――そしてその一つ分は、貯めておいて緊急の用に用いなさい。二つ分は、自分の事業に使いなさい。残りの一つ分は、日常生活の用に使いなさい。この四等分した中から、一部分を取り出して、出家者の資具を供養するのに使いなさい、と書かれています。(完)

(翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)

初めてご来訪の方へ:上記は、台湾より請来した「禅修問題与解答(パオ禅師等講述)」(中国語版)の翻訳です(仮題「パオ・セヤドー問答集」)。「智慧の光」「如実知見」の姉妹版として、アビダンマ及びパオ・メソッドに興味のある方のご参考になれば幸いです。(一日又は隔日、一篇又は複数篇公開。日本及び海外でリトリート中はブログの更新を休みます。Idaṁ me puññaṁ nibbānassa paccayo hotu)。