Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-131

人食い鬼は言った:「お前は、すでに死神の手から逃げたように

言うが、私はお前を信じない」

須陀須摩王は言う:「私の友人(人食い鬼と須陀須摩の二人は、

まだ王子であった頃、共に学んだ仲であった)、人食い鬼、

この世間において、道徳のある生活を送ることは、長寿では

あっても、罪悪感に満ちた生活を送るよりは、良い。

というのも、それらは、人々の非常に厭うものであり、

指弾するものであるから。

真実でない言葉は、人々の死後、悪道に生まれ変わらない

ということを保証しない。

友よ、『強風が大岩を天空まで吹き飛ばした』とか

『太陽と月が地上に落ちた』とか、または『すべての

河の水が上流に向かって逆流した』と言う人がいたら、

あなたはそれを信じても良い。

しかし、もし人が『須陀須摩が嘘をついた』と言うなら、

それは信じる事が出来ない。

友よ、若し人が『天空が裂けた』とか、『海が已に干上がった』

とか、『須弥山は已に一筋の痕跡も残らないほど、

削り取られた』と言うなら、あなたは信じなくでもよいが、

しかし、人が『須陀須摩が嘘をついた』と言うなら、

それは信じてはいけない。」

しかしながら、人食い鬼は依然として、彼を信じなかった。

人食い鬼が依然として、彼を信じなかった為、

須陀須摩は考えた:

「人食い鬼は、私を信じようとしない。

私は、彼が信じられるように、誓いを立てよう。」

そして、言った:

「友よ。私を降ろしてください。私はあなたを説得

する為、誓いを立てましょう。」

人食い鬼が彼を降ろすと、彼は言った:

「友よ。私は剣と矛を持って誓います。

私は、難陀婆羅門との約束を果たすために、

町へ行って四首の偈を学んできます。

そのため、暫くここを離れますが、その後、

私は必ず、私の約束を守るために、あなたに

会いに戻ってきます。

もし、私が真実を言っていないのならば、

二度と、剣と矛などの武器で守られた、

皇族には生まれ変わりません。」

人食い鬼は考えた:

「この須陀須摩王は、普通の国なら恐ろしくて

発する事のできない誓いを立てた。彼が戻ってきても

こなくても、自分が国王であることには変わりがない。

もし彼が戻らないなら、私は自分の腕を切って、

その血でもって、ガジュマル樹神を祭ればよい。」

そう考えて、人食い鬼は、須陀須摩菩薩を町に行かせた。

須陀須摩王は、真に言った通りに実行し、難陀婆羅門から

四首の偈を学んだ後、人食い鬼に会うために戻ってきた。

これが、すなわち、菩薩がどのようにして、

自己の命を顧みずに、約束を守るのか、という例である。

(+ )(= )訳者。(つづく)

(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)

中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)