Sayalay's Dhamma book

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パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-187

問3-11:

仏陀はチューラパンダカに「掃除、掃除」と念ずるように教え、結果、彼は阿羅漢果を証悟しました。これはどういう理屈でしょうか?「掃除」が、彼の業処ですか?ただ「掃除」と唱えるだけで、四禅八定を修し、初果から四果まで証悟することはできるのでしょうか?

答3-11:

南伝の経典に基づくと、チューラパンダカ尊者は、「掃除」と念じたのではなくて、私が先ほど説明したように、「容易に汚染する」と念じていたのだ。

過去世のある一生の中で、チューラパンダカは、一国の国王に生まれた。ある時、彼が城内を巡視しているとき、彼は額に汗をかいた。そのため、布で額を拭いた所、それが原因で布が汚れた。

国王は一人ごちして:「この不浄なる身体のせいで、この布は、本来の清浄なる性質を喪失してしまった。有為法とはなんと無常であることか!」と言った。

こうして、彼は無常の印象(anicca-sañña無常想)を得た。このことから、チューラパンダカ尊者の立場から言うと、「容易に汚染する」という法門は、彼が阿羅漢果を証悟するための、強力な助縁となったのである。

仏陀は、彼の過去世における善行を見て取り、また、彼の善行に見合う、彼が(+対象に)専注する修行を実践するに相応しいモノとして、仏陀は彼に清潔な布を渡したのである。

チューラパンダカ尊者は、すでに10万劫の長きにわたって、波羅蜜を累積した:彼は多くの過去世において、三蔵の典籍を研究し、観禅の修行は、行捨智まで到達していた。これは、四無碍解智と六神通を証悟しようとする阿羅漢が備えておかなければならない、先決条件である。

彼は、最後の一生の中で、布が汚れていくのを見たとき、即刻、有為法の無常の本質を察知した。

過去の波羅蜜と禅の修行のおかげで、彼は有為法の無常の本質を了解するとこができ、このことを踏まえて、阿羅漢果を証悟することができたのである。

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(つづく)

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<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>