南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』#35-23

その後、ある日の事、仏陀は、シャーリプトラ尊者の甥に《長爪経》(Dīghanakha Sutta)を教えていた時、一種の法を説明した:受(vadanā)である。

シャーリプトラ尊者は、その時、ゴータマ仏陀の後ろに立って、彼の為に扇子を揺らしながら、仏陀の説法を聞いていた。

説法が終わると、シャーリプトラ尊者は、阿羅漢果を証悟し、彼の甥は、入流果を証悟したていた。(M.2.206 )。

彼は、ただ、一法をのみ観照したたけで、阿羅漢を証悟したのであるが、それは、彼が、それ以前に、すでに、すべての五蘊を識別してあったから、なのである。

再度申し上げるが:仏陀は、もし、比庫が、三種類の遍知でもって、一切の名色法及びその因を了知することができないのであれば、彼は、涅槃を証悟する事は出来ない、という。

故に、禅修行者は、ただただ、受(例えば、苦受)をのみ識別しようとし、究極名色法を徹底的に識別しようとしないならば、それは充分ではないのである。

ここで言う「充分ではない」とは、涅槃を証悟する事はできない、という意味である。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>