<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
アチャン・マハブーワは、彼女の頑なで、無知なる様に、これ以上耐えきれず、以前の作風を変えて、彼女に、心が外へ向かって、外部の境界を探索しないように、強く要求した。
というのも、このまま、覚知の間違った使いかたをしていては、彼女にとって、生老病死の根源を断ち切ることの、利益にならないが故に。
彼は、メーチ・ケーウに、このように指導するのは、彼女の為であると言い、その後に、彼女に必ず、己の指示を守るようにと、厳しく指導した。
メーチ・ケーウは、己の知識と理解に十二分の確信を持っていた為、アチャン・マハブーワがどのように警告しようとも、彼女の禅修行は旧態依然として変わらず、彼女は、アチャン・マハブーワと、禅法の真正なる意義について、論争した。
今度ばかりは、アチャン・マハブーワも徹底的に怒り、この、言うことを聞かない生徒を、受け入れる事など、出来ないと思った。
彼は立腹し、獰猛な語気と表情で、彼女にこれ以上、覚知を外部に向けてはならないと叱り、彼女に対して、直接注意力を反対側に転換して、内へ向けて専注するように、歯に衣を着せぬ言い方で、命令した。
彼は、全くの妥協の余地なく、彼女に言った。
この様に努力して修行する以外に、汚染された煩悩を消し去ることはできない、のだと。
ある日の夜、メーチ・ケーウがまたもや、己に固執して、自己弁護している時、アチャン・マハブーワは、彼女の言葉を遮り、今すぐここを去るように、と言った。
彼は、まったく一筋の躊躇も見せず、彼女に今すぐ出ていくように、今後、二度とここへ戻ってくる必要はないと言い、他の尼僧の面前で、粗野で耳に障るような言葉で、彼女を追い出した。
メーチ・ケーウは、アチャン・マハブーワがこれほど下品な言葉を使うことに驚いたし、また、彼女はこれまで、このような事が起こるなどと考えたこともなかった。
彼女は洞を出て、泣きながら道場に戻ったが、道々、己を責める厳しい言葉が、耳の中で木魂し、徹底的に人格が崩れ去ったようで、彼への信頼も悉く尽き果て、もう二度と彼には会わないと思った。
メーチ・ケーウは、これまでのすべてが無駄になったようで、重い足取りで、坂になった山道を降りて行った。
彼女が初めてアチャン・マハブーワに会った時、彼女は己の直観から、彼こそは、依止できる禅師であると思ったが、今や、彼は、情け容赦もなく、彼女を追い出した。
これから誰に、禅修行の指導をしてもらえばいいのか?
これほど長い間、四方八方に探し求め、今、願いが叶い、これほど理想的な禅師を見つけることができたというのに、参学の結果は、余りにも惨めなものであった。
今、メーチ・ケーウの目の前には、ただ暗闇しかなく、どうしていいか、分からなかった。
(5-10につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」 Dhammavamsa Publication
中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>