南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

般若の独り言~婆子焼庵

老人になると、《夜余りよく眠れない》とか、《眠りが浅くてすっきりしない》とか言いますが、私はそんな事はありません。私の場合は、よく眠れる日(爆睡する)と、その反動であまり眠れない日が、交互にやってきます。

前の日に爆睡しているので、次の夜の眠りが浅くても、特段不安を感じる事はなく、これはチャンスとばかりに、ベッドに横たわって、瞑想する事が多いです。

さて、昨夜も<眠れない夜>でしたが、おかげで、瞑想する時間はたっぷり・・・禅の公案である『婆子焼庵』が解けました・・・といっても、禅の老師に確認したわけではないので、自己判定ですが(注1)。

公案というのは、本当によく出来た課題で、これは《大人のなぞなぞ》なのですね(アビダンマ仏教の、素粒子を観察する サマタ・vipassanā の修行とは、意図や着地点が異なっていますので、その優劣を争う必要もないのです)。

南泉斬猫』もそうですが、老師から頂いたお題をそのまま受け取って、考えに考えても、通らないのです・・・公案は、数学でも自然の定理でもないからです。

公案は、己の中の、固く巣食っていた自我の執着が抜けた時、己の固執・固着した観点が溶けて、まったく別の観点からものごとを観ることができた時、解ける・・・その様に工夫された《大人のなぞなぞ》なのですね。

子供向けのなぞなぞが解けた時、お腹を抱えて笑ったり、思わずニンマリしたりしますが、公案も同じで、今回は

【なんとまぁ長い間、婆子(=老婆)に騙されていたもんだ】と、お腹を抱えて笑いました。

眠れぬ夜もよいものです。

(注1)以前『南泉斬猫』を無師で通り、3年ほど後に、老師に訊ねた所「OK」を貰った事があり、昨夜の『婆子焼庵』も、OKを貰えるのではないかと、思っています。

<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>