老人になると、《夜余りよく眠れない》とか、《眠りが浅くてすっきりしない》とか言いますが、私はそんな事はありません。私の場合は、よく眠れる日(爆睡する)と、その反動であまり眠れない日が、交互にやってきます。
前の日に爆睡しているので、次の夜の眠りが浅くても、特段不安を感じる事はなく、これはチャンスとばかりに、ベッドに横たわって、瞑想する事が多いです。
さて、昨夜も<眠れない夜>でしたが、おかげで、瞑想する時間はたっぷり・・・禅の公案である『婆子焼庵』が解けました・・・といっても、禅の老師に確認したわけではないので、自己判定ですが(注1)。
公案というのは、本当によく出来た課題で、これは《大人のなぞなぞ》なのですね(アビダンマ仏教の、素粒子を観察する サマタ・vipassanā の修行とは、意図や着地点が異なっていますので、その優劣を争う必要もないのです)。
『南泉斬猫』もそうですが、老師から頂いたお題をそのまま受け取って、考えに考えても、通らないのです・・・公案は、数学でも自然の定理でもないからです。
公案は、己の中の、固く巣食っていた自我の執着が抜けた時、己の固執・固着した観点が溶けて、まったく別の観点からものごとを観ることができた時、解ける・・・その様に工夫された《大人のなぞなぞ》なのですね。
子供向けのなぞなぞが解けた時、お腹を抱えて笑ったり、思わずニンマリしたりしますが、公案も同じで、今回は
【なんとまぁ長い間、婆子(=老婆)に騙されていたもんだ】と、お腹を抱えて笑いました。
眠れぬ夜もよいものです。
(注1)以前『南泉斬猫』を無師で通り、3年ほど後に、老師に訊ねた所「OK」を貰った事があり、昨夜の『婆子焼庵』も、OKを貰えるのではないかと、思っています。
<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>