Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

是誰庵のひとやすみ~唯我独尊

先日、メールで、こんな宣伝文が届きました。

★世界初の特製ダイエット・サプリメント

会員様13万人全員にお分けしたい所ですが、今回は、たった853人のみ、あなたはその853人のうちの一人に選ばれました!

いかがですか?

特製のダイエット・サプリメント!★

あ、あのね。

そんなに効くなら、853人と言わず、13万人と言わず、全世界に売っちゃって下さい。美容はともかく、病的な肥満でお困りの方々にとって、朗報でしょ??

さて、人は<あなたは選ばれた特別な人間です!>というキャッチ・フレーズに弱い。

自尊心をくすぐるのでしょうか、劣等感を癒すのでしょうか?

よく分かりませんが、とにかく「あなただけよ」と言われると、すぐ騙されてしまうのですね。

仏法では、こう言います。

天上天下唯我独尊>

これ、「仏陀が『私が一番偉いのだ』と言った」と伝えられていますが、そんなことはない。

仏陀は漏尽者と言って、徹底的に謙虚ですから、自分が一番偉いなんて、言いませんよ。

仏教では、業を言います。

業とは、良きにつけ悪しきにつけ、あなたの心の癖の事です(その心によって引き起こされた行為と、行為から生じた結果も含む)。

業は、発動される場合もあれば、潜在意識(有分心)に眠ったままのもあります。

一人一人の業は、皆違った顔を持っています。

指紋が各人異なるように、業もまた、一人として同じという事はありません。

仏陀は、業だけがあなたの財産だ、と言います。

前世から持越して来て、来世へと携えていけるもの、それは富でもなく、名声でもなく、人の心に埋め込まれた指向性エネルギー、業しかないからです。

世界に一つしかない己の業を認め、大切にし、業を乗り越えて、来世へとつなげていく。

それが<唯我独尊>だと、私は思っています。

人は、一人で生きていかねばならないのです。