Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

ブッダダーサ著「生活の中の縁起」(翻訳文)ー5

ブッダダーサ尊者の、縁起に関する解説は、強力な後ろ盾に

依っている。彼は各種の論集を調べるのではなくて、直接

原始パーリ経典に戻り、資料の源流を探索し、かつ常に

教理が現実の中で活用できるにように思惟し、此の生、

此の世で苦を滅したいと真剣に願う人が、実践できる

ようにした。

縁起とは、実は、苦の生起、止息及び滅苦の道に関する

詳細な分析である。

因・縁の法則に対する理解を通して、我々は、実践の道を

はっきりと捉えることができる。

<今、ここ>の触に専注すれば、智慧を引き出せるだけで

なく、苦の生起の防止にもなる。

というのも、苦の生起及びその止息に関する原因はすべて

<今、ここ>にあるのであるから。

無明(無知)が心を覆い尽くす時、苦は生起する。

正念と智慧が6根(眼、耳、鼻、舌、身、意)を調伏する時、

苦は止む。

このような縁起は、実際に応用が可能である。

というのも、上記のような因と果は、すべて、我々が触れる事

のできる<今生/今世>に存在するからである。

苦の原因を過去世に求めるならば、此の世で苦痛から

解脱する事は難しくなる。と言うのも、すでに過ぎ去った

過去世の因を、我々は掌握することは、できないのであるから。

(つづく)

(台湾香光尼僧集団翻訳グループ~タイ語→中国語

原題「生活中的縁起」中国語→日本語 Pañña-adhika sayalay)