ブッダダーサ尊者の、縁起に関する解説は、強力な後ろ盾に
依っている。彼は各種の論集を調べるのではなくて、直接
原始パーリ経典に戻り、資料の源流を探索し、かつ常に
教理が現実の中で活用できるにように思惟し、此の生、
此の世で苦を滅したいと真剣に願う人が、実践できる
ようにした。
縁起とは、実は、苦の生起、止息及び滅苦の道に関する
詳細な分析である。
因・縁の法則に対する理解を通して、我々は、実践の道を
はっきりと捉えることができる。
<今、ここ>の触に専注すれば、智慧を引き出せるだけで
なく、苦の生起の防止にもなる。
というのも、苦の生起及びその止息に関する原因はすべて
<今、ここ>にあるのであるから。
無明(無知)が心を覆い尽くす時、苦は生起する。
正念と智慧が6根(眼、耳、鼻、舌、身、意)を調伏する時、
苦は止む。
このような縁起は、実際に応用が可能である。
というのも、上記のような因と果は、すべて、我々が触れる事
のできる<今生/今世>に存在するからである。
苦の原因を過去世に求めるならば、此の世で苦痛から
解脱する事は難しくなる。と言うのも、すでに過ぎ去った
過去世の因を、我々は掌握することは、できないのであるから。
(つづく)
(台湾香光尼僧集団翻訳グループ~タイ語→中国語
原題「生活中的縁起」中国語→日本語 Pañña-adhika sayalay)