ここにおいて、私はあなた方に、我々の菩薩が如何にして、上述の8つの
項目の条件を具備した上で、至上願を発して授記を得る事ができたのかを、
説明したいと思う。
彼がまだ燃灯仏から授記を受ける前、彼はすでに2万億を超える尊仏の前で、
仏陀になりたいと言う願を発した。《ヤショーダラ長老尼比喩経》によると、
未来のヤショーダラもまた、同じくらいの多くの尊仏の前で、彼が菩薩道を
修するのを助けたい、という願を発した。
すなわち、未だ授記を受けていない前、我々の菩薩はすでに、自分の所有
する一切の、外部に存在する財物、妻、児女、王位、身体と生命を捨てる事
を通して、10波羅蜜を実践していたのである。
彼が布施した眼球は、天上の星々の数より多い。
彼が捨て去った身体を積み重ねるならば、須弥山よりもなお、高い。
その上、彼は多くの尊仏の膝下で出家し、自己の戒を清め、仏陀の教法を
学び、定を修して八定と五世間神通を証悟した。
彼はこのように10の波羅蜜に精進を重ねて、その結果、授記を得たのである。
彼がスメダ隠士の身で燃灯仏に出会った時、彼は至上願を発するための8つ
の条件を具備していた。
すなわち、人身、男性、因、仏陀に見える。出家して、業力の果報を信じる
沙門であった。八定五神通、諸々の徳の成就を具足し、仏陀の為に自分の
命を捧げる事を願望し、また、仏果を証悟したいという、極めて強力な欲を
擁していた。
もし彼が望むならば、燃灯仏がまだ四行の偈を言い終わらない前に
阿羅漢果と、六神通と四無礙解智を証する事ができた。
これは、決してスメダ隠士の特殊な能力ということではなく、一切の、
菩薩として授記される人が、必ず擁しなければならない能力である。
それはすなわち、一人の尊仏が四行の偈を開示したならば、即刻、
阿羅漢果と六神通と四無礙解智を証悟できる、というものである。
四無礙解智を証悟することのできる人は、以下のような5つの条件を
具備しなければならない。
一、証悟(adhigama):阿羅漢道果またはその他の道果を証悟
する事。
二、教理の精通(pariyatti):仏法経典を学ぶ。
三、聴聞(savana):尊敬の念を以て、専心して仏法を聞く。
四、質問(paripucchā):論経や、注釈の中の難問、疑問と
その解説を研究する。
五、修行の先行(pubbayoga):かつて過去仏の教化の時代に
止観の修行をし、行捨智(saṅkhārupekkhā-ñāṇa)に到達している。
(つづく)
(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)
中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)