Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-85

ここにおいて、私はあなた方に、我々の菩薩が如何にして、上述の8つの

項目の条件を具備した上で、至上願を発して授記を得る事ができたのかを、

説明したいと思う。

彼がまだ燃灯仏から授記を受ける前、彼はすでに2万億を超える尊仏の前で、

仏陀になりたいと言う願を発した。《ヤショーダラ長老尼比喩経》によると、

未来のヤショーダラもまた、同じくらいの多くの尊仏の前で、彼が菩薩道を

修するのを助けたい、という願を発した。

すなわち、未だ授記を受けていない前、我々の菩薩はすでに、自分の所有

する一切の、外部に存在する財物、妻、児女、王位、身体と生命を捨てる事

を通して、10波羅蜜を実践していたのである。

彼が布施した眼球は、天上の星々の数より多い。

彼が捨て去った身体を積み重ねるならば、須弥山よりもなお、高い。

その上、彼は多くの尊仏の膝下で出家し、自己の戒を清め、仏陀の教法を

学び、定を修して八定と五世間神通を証悟した。

彼はこのように10の波羅蜜に精進を重ねて、その結果、授記を得たのである。

彼がスメダ隠士の身で燃灯仏に出会った時、彼は至上願を発するための8つ

の条件を具備していた。

すなわち、人身、男性、因、仏陀に見える。出家して、業力の果報を信じる

沙門であった。八定五神通、諸々の徳の成就を具足し、仏陀の為に自分の

命を捧げる事を願望し、また、仏果を証悟したいという、極めて強力な欲を

擁していた。

もし彼が望むならば、燃灯仏がまだ四行の偈を言い終わらない前に

阿羅漢果と、六神通と四無礙解智を証する事ができた。

これは、決してスメダ隠士の特殊な能力ということではなく、一切の、

菩薩として授記される人が、必ず擁しなければならない能力である。

それはすなわち、一人の尊仏が四行の偈を開示したならば、即刻、

阿羅漢果と六神通と四無礙解智を証悟できる、というものである。

四無礙解智を証悟することのできる人は、以下のような5つの条件を

具備しなければならない。

一、証悟(adhigama):阿羅漢道果またはその他の道果を証悟

する事。

二、教理の精通(pariyatti):仏法経典を学ぶ。

三、聴聞(savana):尊敬の念を以て、専心して仏法を聞く。

四、質問(paripucchā):論経や、注釈の中の難問、疑問と

その解説を研究する。

五、修行の先行(pubbayoga):かつて過去仏の教化の時代に

止観の修行をし、行捨智(saṅkhārupekkhā-ñāṇa)に到達している。

(つづく)

(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)

中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)