パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-3★
2-2 五つの条件
四無礙解智を成就するには、以下の五つの条件が必要である:
1、証悟(adhigama):阿羅漢道またはその他の、何か一つの聖道を証する事。
2、教理に精通する(pariyatti):三蔵聖典の暗唱。
3、聞法:(savana):細心に、尊敬の念をもって仏法を聞く。
4、質問(paripuccgā):注釈を研究し、三蔵の中の難題を理解する。
5、先行する修行(pubbayoga):かつて、過去仏の教法の中で、「往復義務(gata-paccāgata-vatta)を履行して、止観の修行をして、行捨智の段階に到達している事。「往復義務」とは、村に入って托鉢するために(+村とお寺を)往復する時、止禅または観禅に専注して修行する事。(《清浄道論》参照の事)。
この五つの条件の内、第一項は、四無礙解智を証悟する、その生において証悟する。残りのよっつは、過去仏の教化の時期に、すでに育成されてあるもの。
ゆえに、我々は以下の事実を忘れてはならない:仏陀の開示する《転法輪経》を聞いた五人の比丘は、過去仏の教化の時代に、すでに深くて厚い波羅蜜を蓄積していたが故に、彼らが阿羅漢果を証悟する時、同時に四無礙解智も成就することができたのだということを。
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(4-4につづく)
訳者コメント:下線訳者。先日、テラワーダを学んでいる方のブログに、adhigamaをどう訳せばよいか、という内容の事が書いてありました。
昔の中国人またはシルクロードに住む仏教徒・仏教学者は、adhigamaを<証悟>と訳したようです。日本では<悟り>がよく知られています。私は状況に応じて<証悟>
<悟り>を使い分けています。<聖道の証悟>とすれば分かり易いですね。ご参考まで。
★誤字脱字を発見された方は、<菩提樹文庫>まで。
ご協力、よろしくお願いいたします。
<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>