獣語(tiracchānakathā):
多くの翻訳者は、この言葉を「獣語」と訳している。しかし、tiracchānakathāを直訳すると、「横に向かって歩く」である。
この語彙は、動物の事を言っているのではあるが、注釈(中部註)の解説では、ここでは横に向かって歩く言論を指すか、または、天界や解脱(涅槃)へ向かう道とは直角になる方向へ歩く言論を意味すると言い、その含意は、この種の言論は、(+精神の)向上とは相反しているということである。
無益な言論とは、王について語る、盗賊、大臣、軍隊、危難、戦争、食べ物、飲み物、衣類について語る、ベッド、花飾り、香水、親戚、車、村、町、都会、国家について語る、女性、英雄、街道、井戸、死人、些末事、世界の起源、海の起源、事柄は実にこのようであるか、ないかについて語る。最後の一項目は、六種類ある:常論、霊魂断滅論、幸運論、損失論、欲楽論、自虐論。故に合計32種類の、無益な言論があることになる。
この32種類の無益な言論は不適切である。
というのも、あなたが禅相に専注する時、これらは、あなたをして、禅相を消失せしめるからである。
しかしながら、10論は、適切である。
10論:10論とは、経の中で提起された10種類の言論である:
「このような言論は、貪欲を解消するのに関連があり、心の解脱に有益であり、厭離、離欲、滅尽、寂静、勝智、正覚と涅槃に導くことができる。
それはすなわち:少欲論、知足論、離群隠居論、遠離社群論、精進事論、持戒論、定論、慧論、解脱論、解脱智見論である。」
たとえこれらが、適切な言論であるとしても、あなたは、ただ適量をのみ語るべきである。
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(5-24につづく)
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<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>