パオ・セヤドー講述「顕正法眼」(翻訳文)~5-42
8-6-2-6 五根のバランス
これから、私は、安般念似相に専注する時、如何にして五根をバランスさせるのかを、説明する。
諸根のバランスを保持するという事は、信、精進、念、定、慧の五根をバランスするという事である。
もし、禅の修行者が、信の対象に対して、過大な信心(ここで言う、この対象とは、安般念業処の事である)がある時、信根による決定(勝解=理解、知ること)の作用が強すぎて、慧根が不鮮明になり、そのことで、残りの精進根、念根及び定根の力もまた弱くなる。
そうすると、精進根は相応する名法を策励させること、それらを似相において、作用させる事を保持することが出来なくなり;念根は、似相を憶念するという作用を確立することが出来なくなり;定根は、心を似相に安住させ、(+心を)散乱させないという作用を実行できなくなり;慧根もまた、似相を見通す(=透視する)作用を実行できなくなる。
というのも、慧根は、似相を知ることができなくなり、そのことで、信根を支えることができなくなり、そのため、信根もまた、弱くなってしまうのである。
この状況においては、諸法の自性(dhamma-sabhāva-vekkhaṇa)を省察する事を通して、または信根に注目しない事を通して、信根が強くなりすぎないようにする方式によって、信根を変化させるのが良い。
このことは、ヴァッカリ長老(Vakkali Thera)の例で、説明ができる。
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(5-43につづく)
Idaṃ me puññaṃ nibbānassa paccayo hotu。
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<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>