翻訳『禅修指南』8-16
<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
《先に識別するべき名法》
《殊勝義註》(Dhammasaṅgani‐aṭṭhakathā)では、以下の様に言う:
’Tasmā taṁ rūpaṁ ārammaṇaṁ
katvā uppannaṁ vedanaṁ
saññaṁ saṅkhāre viññāṇañca
idaṁ arūpanti paricchinditvā
aniccādito passati’
ーー色法を所縁として取る事によって生起する受、想、行、識という諸々の非色法を分析した後、彼はそれらを無常として観照する。」
上に述べた註釈の教えに従えば、名法の識別を開始する時、禅修行者は先に、色法を所縁に取る名法を識別しなければならない。
禅修行者は、名法を所縁に取る名法の識別をする事も出来なくはないが、しかし、名業処の修習を開始したばかりの時、それらを識別(duppariggaha、摂受が困難)するのは、比較的困難である。
もう一点は:
男性、女性、人間、有情、金、銀等の密集の概念を所縁とする、名法を識別する事は、可能である。
ここでは、それらの概念を識別するのではなくて、概念を所縁として取る事によって生起する所の、究極名法を識別するのである。
《六グループの定義》
色法を所縁の違いによってグループに分類すると、合計六種類の所縁がある(+事が分かる)。
すなわち:
1、色所縁。
2、声(=音)所縁。
3、香所縁。
4、味所縁。
5、触所縁。すなわち、地、火、風。
6、法所縁。すなわち、五浄色と 16微細色。
色所縁を目標として取る名法は、色所縁グループ名法と呼ばれる。その他の名法は、また、類推して名付けられる
(注31)。
六グループのすべての名法は、識別されなければならない。
次に、善速行を具備する心路過程名法は、善グループと呼ばれる:
不善速行を具備する心路過程名法は、不善グループと呼ばれる。
唯作速行心を具備する心路過程は、唯一、阿羅漢の心中にのみ出現するものであって、故に、この書では、それを解説しない。
《四随観(anupassanā)》
観禅の修行において、色法、名法、因と果を観照する時、
もし、色法の観照から始める時、それはすなわち:
身随観念処(kāyanupassanā satipaṭṭhāna)であり;
もし、受の観照から始める時、それはすなわち:
受随観念処(vedanānupassanā satipaṭṭāna)であり、
もし、識の観照から始める時、それはすなわち:
心随観念処(cittānupassanā satipaṭṭāna)であり、
もし、触の観照から始める時、それはすなわち:
法随観念処(dhammānupassanā satipaṭṭāna)である。
五蘊、または12処、または18界等の方式によって観禅の修習をするのは、法随観念処である。
注31:《智慧の光》では、ある種のグループの名称について、伝統的な用法を用いていない。それは、パオ Sayadawが、禅修行者の理解に利する為に用いた、指導内容に依る為である。
(8-17につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijyubunko.sakura.ne.jp/index.html
<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版 中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>