南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『禅修指南』11-3

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

(三)逆縁起第一法(末端から始めへ)

ここでは、転倒した順序によって縁起を教える。

なわち、末端の老死から一番前の無明までである。

逆縁起の順序とは:

1、老死。

2、生。

(上の二者は未来時に属する)

3、有。4、取。5、愛。6、受。7、触。

8、六処。9、名色。10、識。

(三から10までは、現在時に属する)

11、行。12、無明

(11と12は過去時に属する)

次に、もし、禅修行者が更に遠い未来世を識別したいのであれば、彼は以下の様に識別する事ができる:

老死と生は二番目の未来世に属する;

有、取、愛、受、触、六処、名色、識は、一番目の未来世に属する;

行と無明は今世に属する。

この様に因果関係を連貫させながら、最後の一個の未来世の因と果まで識別する。

次に、禅修行者は更に遠い過去の輪廻を識別する事ができる;

老死と生は今世に属する;

有、取、愛、受、触、六処、名色、識は一番目の前世に属する;

行と無明は二番目の前世に属する。

この方法に基づいて、禅修行者は、己自身の力の及び限り、更に遠くの過去世の因果を識別する。

これは三世の因果関係を連貫させる方法である。

すでに、随順縁起第一法に熟練した禅修行者ならば、この識別方法は決して難しくない。

識別方法の幾つかの例

智でもって、老死は生によって引き起こされる事を知見し、その次に以下の様に因果を識別する:

生が生起するが故に、老死が生起する;

生は因、老死は果。

次に、智でもって、業有が生を引き起こす事を知根した後、以下の様に因果を識別する:

業有が生起するが故に、生が生起する;

業有は因、生は果。

この様に逆の順序で、前の端の無明に至るまで識別する。

(四)逆縁起第二法(中から始めへ)

四食

この種の識別方法に関して、註釈では、《相応部・因縁品・食經》(Saṁyutta Pāli、Nidāna Vagga、Āhāra Sutta)から摘った一節がある。この経典の中において、仏陀は、中間の四食から前端の無明までの、逆縁起法を教えている、故に、ここにおいて、先に、四食に関しての説明をする。四食とは:

1、段食(kabalīkāra āhāra):荒いものでも、微細なものでも、この食は、一口大に丸めた後、食べていなくとも、食べた様に(+作用する)。(以下において再度説明する)。

2、触食(phassāhāra):所縁に接触する所の食。

3、意思食(manosañcetanāhāra):心を促す食。

4、意食(viññāṇāhāra):識知の食。

Vipākavaṭṭabhute paṭisandhipavattiphassādike

kammasamuṭṭhānañca ojaṁ sandhāya・・・

(《根本疏鈔》:《大疏鈔》)

以下の、果報輪転に属するものに関して、及び結生(paṭisandhi)と生起(pavatti)時に生起する所の四食とは、すなわち:

1、触食:果報識と相応する触。

2、意思食:果報識と相応する思。

3、識食:果報識。

4、段食:業等起色(kammasamutthāna rūpa)を含む、その中の業生食素(kammaja ojā)。

仏陀は以下の様に教える:

この四食は、愛をそれらの因縁としている(cattaro āhāra taṇhā nidāna)。

ここにおいて、了義教法(nītattha)に基づいて、それを果報輪転に属する四食とするが、しかし、もし、渇愛を根源としないのであれば、その他の非業生食(これは、親依止力によって輪転苦が不断に増長する様に支援する力、すなわち、煩悩輪転、業輪転及び果報輪転を不断に輪転せしめる事)もまた、生起することができない。

故に、愛(taṇhā)は因縁(nidāna)である、と言うのは適切である。

(11-4につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijubunko.sakura.ne.jp/index.html

<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版  中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>