パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」6-42(206/430)
<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
12.4.15.2 四ソータパナ支
ソータパナ支には四種類ある:
1、依止善士(sappurisūpanissaya)
2、正法の聴聞(saddamma-savana)
3、如理作意(yoniso manasikāra)
4、依法修行(dhammānudhamā-paṭipatti)
「信」は手と同じであると見做すことができる。
というのも、それは善法を持し、執行するが故に。
もし、人が、多くの、異なった種類の宝の山に来て、宝を見たとするならば、手があって初めて、それらを手にすることができる。
同様に、もし、人が、仏教に対して、充分な信心(=確信)がある時、彼は多くの、異なった善法、たとえば、布施、戒清浄、定、観智及び聖道智を持し、執行することができる。
故に、信は手と同じであると、見做すことができる。
信はまた、財産、富と見做すこともできる。
仏陀は言う:
「この世間において、人にとって最も大きな財産、富とは、信である」
もし、人に充分な財産、富がある時、彼は、各種の異なった宝を見た時、それを買うことができる。
しかし、彼に充分な財産、富がない時、彼には宝を買うという事ができない。
同様に、もし彼が、仏教に対して充分な信心(=確信)があるならば、彼は、各種の異なった善法、たとえば、布施、戒清浄、定、観智及び聖道智を累積することができる。
しかし、もし、彼に充分な信心(=確信)がない時、彼はこれらの善法を累積することができない。
故に、信は、財産、富であると、見做すことができる。
信は、種と見做すこともできる。
もし、人に種があるならば、彼はそれらの種を、適切な場所、よい気候のところに植えて、その果実を得ることができる。
しかし、彼に種がないならば、彼はその様な事を実践することができない。
同様に、もし、彼に仏教に対する充分な信心(=確信)がある時、彼は信の種を植えることができ、法に依る修行の下、各種の異なった果実、たとえば、布施、戒清浄、定、観智及び聖道智を得ることができる。
しかし、彼に充分な信心(=確信)がなく、法に依る修行が出来ないのであれば、彼は、この教法の中において、何等の成就、たとえば、神通、観智、聖道と聖果を、得ることができない。
故に、信は種と見做すことができる。
12.4.16 念(sati)
念の特徴は、不漂泊である、すなわち、目標に対して念々として、知っており、流失することがない;
作用は、惑わないまたは目標を見失わない事、たとえば、安般似相など;
現起(現象)は心と目標を守護する事、または心が目標の状態に対面する事(=受け入れる事);
近因は、強くて力のある想(thirasaññā)または四念処。
諸々の論師は以下の様に解説する:
念は心を安定的に保持して、目標を明記する、たとえば、安般似相等。ちょうど大きな石が深い湖の底に沈むが如くであって、瓢箪が湖面に浮かび漂うのとは異なる。
また、守衛と見做すこともできる。というのも、それは心を保持して、煩悩が六門において生起するのを防ぐが故に。また、安般似相などの目標が、注意力から離脱するのを防ぐことができる。
12.4.17 慙(hiri)
慙の特徴は、悪行に対して、嫌悪を感じる事;
作用は純潔で悪を造(ナ)さない事;
現起(現象)は純潔で諸々の悪を避ける事;
近因は己自身を尊重する事。
12.4.18 愧(ottappa)
愧の特徴は、悪行に対して、怖れを感じる事;
作用は、怖れのために、悪を造(ナ)さない事;
現起(現象)は、怖れのために、諸々の悪を避ける事;
近因は、他人への尊重。
人は、己自身を尊重するが故に、慙を通して、悪行を断じ除くが、それはちょうど良家の子女の行為と同じである;
彼は、他人を尊重するた故に、愧を通して、悪行を断じ除くが、それは高級娼婦の様である。
仏陀は、この二法をもって、世間の守護者であると述べたが、というのも、それらは、世間が広範な不道徳に陥るのを、防ぐことができるが故に。
12.4.19 無貪(alobha)
無貪の特徴は、心が目標(所縁)に対して貪求しない事、または目標に執着しない事、たとえば、水玉が蓮の葉に粘着しないが如くである;
作用は不執着;
現起(現象)は無執着;
近因は、彼が不執着であること、または如理作意された目標。
無貪とは、貪念がないだけではなく、正(=ポジティブ)的な品徳も含む事を理解しなければならない、たとえば、布施や捨離などである。
(6-43につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等ほぼ原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijyubunko.sakura.ne.jp/index.html
<中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>