南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳(中→日)<実用アビダンマ>(108-10/11)(私家版)

1.神変通:色々な種類がある。例えば、一身が百身になるもの。仏陀の時代、チューラパンディカと言う人がいた。彼は非常に愚かで、仏陀の教える一句さえ覚えられない。彼の兄は阿羅漢で、もう彼を教えるのが嫌になった。彼は非常に悲しんだが、この時仏陀が彼に一枚の布を渡した。それで己の身体を拭いて「不浄、不浄」と観察した。彼はこの布が白色から黒色に変わるのを見て観智が熟し、阿羅漢を証し、かつ、神変通を擁したのである。。。。。。     ある時、サンガ全体の比丘を招いて、食事の供養がなされた。居士が食べ物を仏陀の鉢に入れようとした時、仏陀は手で鉢に蓋をした(食べ物を受け取らない意思表示である)。居士が尋ねた「どうしてお受けにならないのですか?」仏陀は答える:「一人の比丘が寺院に残っていて、まだ、供養の品を受け取っていない。」その為、彼らは人を派遣して寺院に行かせ、チューラパンディカを食事に招こうとした。チューラパンディカは彼らが来る前に、一千のチューラパンディカになっていて、居士はどれが本当のチューラパンディカか、判断できなかった。これが神変通である。一個の身体が、一千個になる事ができる。神変通は、又如意通とも呼ぶ。心の欲するままに、顕現したり消失したり、壁抜け、遁地、水上歩行、天空を舞う、月日を触る、梵天界に行く、などの事が、できる。水上を歩くのは、彼が水をば、地遍に変えているからである。彼は水の上を歩いているのではなく、地を歩いているのである。我々には、彼が水の上を歩いている様に見えるたまげてある。空を飛ぶのも同じ原理で、彼は虚空遍か風遍に入るのである。           2.天耳通:遠い所、近い所の、粗い又は微細な音声を聞く事ができる。          3.他心通:多人の心の思いが分かる。又、他人の心境が直接分かる。。。     4.宿住随念:非常に多くの過去世を思い出す事ができる。その出来事が、どの世の事であるか、詳細を思い出す事ができる。この種の神変は、輪廻に対して嫌悪を生じるのに良い役割を果たす。というのも、己の過去世ーーどこで生まれ、名前は何で……死後、又別の一世に生まれ、又死亡し……。長い輪廻の中において、あなたはその始まりを見つける事はできない上に、今になっても、輪廻は終わらない。どれも似た様に、生まれて死んで、生まれて死んで…。梵天であっても、生死から逃げられない。地獄でも生死はある。我々は、生死が不断に続くのを見れば、自然に、リンネに対して倦み飽きる。仏陀の時代、その大弟子の内、ヤソーダラが宿住随念優秀者であった。