チャンナ尊者の物語~
ここで、私はチャンナ尊者(Channa Thera)の話をしたい:
仏陀が大般涅槃に入った後、サンガは、仏陀の指示に従って、チャンナ
尊者に対して梵罰(brahmadaṇḍa)を実施した。
梵罰を受けた後、チャンナ尊者は修行に精進し、名法と色法を照見できる
ようになった。言い換えれば、五蘊を照見できるようになったのである。
彼は観智を以て、各蘊毎の無常・苦・無我の本質を明晰に理解すること
ができた。彼が五蘊の無常と無我の本質を照見する時、彼は思った:
「おお、一切はみな、無常であり、無我である、しかし、これらの
無我なる法は、疑いなく善業と悪業を造作している。それならば、
誰がこの善業・悪業の果報を受けるのだろうか?これらの善業・悪業
の果報を受ける人は、いないのではないか?」
このように、彼は断見と常見を取り除くことができなかった。
「善業と悪業の報は誰が受けるのか?」この考え方は常見である。
「一切が無常であるならば、善業と悪業の報を受ける人はいない」
この考え方は断見である。
こうして、チャンナ尊者はアーナンダ尊者に会いに行き、
自分が陥っている困惑について述べた。
アーナンダ尊者は、《迦栴延経 Kaccanagotta Sutta》を教えたが、
この経は、縁起の修行方法について、徹底的に述べたものである。
この経を聞いた後、チャンナ尊者は種々の邪見を取り除くことができた。
故に、自分で如理作意ができない人は、自己の導師に助けを求め、
導師に向かって自己の修行上の困惑を報告するべきである。
賢明な導師は、煩悩を取り除く方法を教えてくれる。
(つづく)
(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)
中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)