パオ・セヤドー問答集~#169~173>問答(13)問13-1~13-5。5篇。
☆11月より長期リトリートに入る為、公開の翻訳文が少し多くなっています。よろしくお願いいたします。
#169-150907
問13-1 仏陀と上級弟子が涅槃する時、初禅から非想非非想処まで修して、又、そこから逆に初禅まで戻り、次に順序に従って第四禅まで修し、そこで涅槃したのでしょうか?仏陀と阿羅漢は涅槃をした後、後有を受けないのに、なぜ順逆に八定を修した後、第四禅でようやく涅槃したのですか?
答13-1 私はマハーモッガラーナ尊者の涅槃については語れませんが、仏陀とシャーリプトラ尊者は、確かにその方法で涅槃しました。それは、彼らの本性がそうであるから、そうしたのだと思います。彼らの第四禅は唯作性(純粋的作用性)のジャーナで、いかなる未来の生命をも生じる事はありません。
#170-150907
問13-2 生理的な問題で、安般念の修行が合わない人で、白遍を修したいと思う場合、どのようにすればよいですか?どのように段階を踏めばよいですか?
答13-2 何か白色の物体を対象にして、その白色に専注して白遍の修行をする事ができます。たとえば、托鉢用の鉢の蓋を白い布でくるんで、白色でできた円形を作ります。そして、適当な場所に座って、目を開いて、その白色に専注します。何分かの後、目を閉じて、心の中にまったく同じ白色の円形が出来ていないかどうか、確認します。もし目を閉じても、白色の円形が見えるならば、その白色の円形に一心に専注して、ジャーナを証するようにします。
もう一つの別の方法は、先に安般念かまたは四界分別観を修行して、その後に32分身を修行します。一たび、骨格または頭蓋骨をはっきりと照見できるようになったならば、骨格または頭蓋骨の白色に専注して白遍の修行をします。
#171-150907
問13-3 限定虚空遍禅と空無辺処定はどのように異なりますか?なぜ、前者は色界定なのですか?限定虚空遍禅を修行すると、どのような利益がありますか?
答13-3 限定虚空遍の修行をする時、修行者は直接空間を覚知します。空無辺処定を修行する時は、遍処禅相を取り除いた後に残った空間に専注します。限定虚空遍以外の、その他の九種類の遍は皆、空無辺処定の修行に用いる事ができます。パーリ語では、限定虚空遍の所縁の対象を「虚空」(ākāsa)と言い、空無辺処定の所縁の対象を「除遍空」(kasiṇugghāṭimākāsa)と言います。
#172-150907
問13-4 今世、人間として生まれてきて、色、無色界定を証していない場合、来世において、色、無色界天に生まれる事はできますか?
答13-4 できません。
#173-150907
問13-5 色界初禅天の衆生は、ずっと初禅の状態のままですか?第二禅から無色界定まで修行する事はできますか?
答13-5 色界初禅天の衆生は、ずっと初禅にいるわけではありません。彼らには、眼門、耳門及び意門心路過程が生起しますし、これらの心路過程の間には、有分心も生起します。
彼らは止禅の修行ができ、第二禅などから無色界定に到達する事ができます。彼らは観禅(vipassanā)を修行する事もできるし、阿羅漢道果を証悟する事もできます。
無色界の衆生に関しては、彼らは修行して、自分と同じ層の天相の深さのジャーナ、またはもっと高度なジャーナに到達する事ができます。しかし、もっと低いジャーナに入る事はできません。たとえば、識無辺処天の衆生は修行して、上の三種類の無色界定に到達する事はできますが、空無辺処定や四種類の色界定に入る事はできません。(完)
(翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)
初めてご来訪の方へ:上記は、台湾より請来した「禅修問題与解答(パオ禅師等講述)」(中国語版)の翻訳です(仮題「パオ・セヤドー問答集」)。「智慧の光」「如実知見」の姉妹版として、アビダンマ及びパオ・メソッドに興味のある方のご参考になれば幸いです。(一日又は隔日、一篇又は複数篇公開。日本及び海外でリトリート中はブログの更新を休みます)。