如何にして空無辺処定を修習するか
四無色禅を修行する為、あなたは、先に物質の過患を思惟しなければならない。
人間の身体は、父母の精卵が結合して生じたものであり、それは、所生身(karajakāya)と呼ぶ。
所生身を擁している為に、刀、槍、弾丸などの武器による傷害を受けるし、攻撃や殴打、虐めにもあう;
所生身はまた、眼病、耳病、心臓病などの各種の疾病を罹患する事もある。
故に、あなたは智慧でもって、色法によって構成された所生身があるが故に、各種の痛苦に出会うのだということを理解するべきである;
もし、色法を離脱する事ができるのであるならば、痛苦を逃れることができる、という事である。
たとえ、色界第四禅が、粗くて劣等な有形の物質を超越するものであるとしても、しかし、やはり、それ(所生身)を基礎として、はじめて(色界第四禅を)成就する事ができるが故に、あなた遍処色を超越する必要がある。
この様に思惟して、もはや遍処色を求めない様にして、九遍の中の<注115>ある一つの遍(例えば地遍)を利用して、再度第四禅を復習し、出定の後、その欠点を省察する;
それは、もはや色法を求めないという基礎の上に、第三禅の楽を近い敵として、四無色禅より粗くて劣っている(と思惟する)。
しかし、あなたは、名法(二つの禅支)の欠点を思惟する必要はない。というのも、それらは、無色禅のものと同一であるが故に。
色界第四禅を求めないと決めた後、あなたは、無色禅の、さらなる寂静の本質を思惟しなければならない。
次に、地遍の遍相を拡大し、それを無辺無際とするか、またはあなたが希望する所の大きさまで拡大し、遍処色が占拠していた空間を虚空で代替えし、当該の虚空をば「空、空」または「無辺の虚空、無辺の虚空」として、専注する。
この時、そこに残るのは、元々遍相が占拠していた所の、無辺虚空である。
もし、これが達成できないのであれば、あなたは、地遍の遍相の、ある一部分の空間を識別し、かつ専注して、その後に、これを無辺の宇宙にまで拡大する。
この様にすれば、地遍の遍相全体は、無辺の虚空に代替えされることになる。
ジャーナを証得するまで、無辺虚空の相に専注し続け、その後に五自在を修習する。
これは、一番目の無色禅であり、空無辺処定と呼ぶ。