Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー問答集~#213、214>問答(15)問15-4、15-5<障礙の克服編>

☆11月より長期リトリートに入る為、公開の翻訳文が少し多くなっています。よろしくお願いいたします。

#213-150915

問15-4 病苦はどのように解決すればよいですか?病気の痛みにはどのよう対応するべきですか?禅師、慈悲を開示して下さい。

答15-4 仏陀在世の時代、ある日、ラダ比丘(Radha Bhikkhu)が仏陀に訊ねました:「世尊、何が病いなのですか?」仏陀答えて曰く:「五蘊こそが病いです」。五蘊が存在していると、かならず病気になります。たとえば、四大の不調は、業力、心理的、季節性または食物からきます。この四種類の原因の内、我々は心理的、季節性及び食物については改善する事はできますが、業力を改変する事はできません。五蘊こそが病気なのですから、五蘊からの解脱が病苦からの解放になります。五蘊から解脱したいのであれば、必ず、涅槃に到るまで、修行に精進しなければなりません。涅槃には五蘊はなく、病もなく、苦もありません。

病い(と痛み)を治す方法は、適当な食べ物と薬を取り、気候が温暖で静かな場所に住む事です。最も重要な事は、増上心(adhicitta)すなわち、止禅心、観禅心、道心と果心を育成する事です。これらは強くて力のある心なので、病気の苦しみを軽減したり、病苦を取り除く助けになります。たとえば、我々の仏陀は、般涅槃の前の10か月の時に、非常に激烈な背中の痛みを感じました。彼は七色観法と七非色観法という二種類の観禅(vipassanā)をし、その後に阿羅漢果定に入りました。彼の観禅は強くて力がある為、彼の阿羅漢果定も強くて力があります。阿羅漢果定から出て来ると、彼は願を発して言いました:「今日から般涅槃の日まで、この病気が再発しませんように」と。彼は病気の苦しみが生起する事のないように、毎日必ずこのように修行し、発願しなければなりませんでした。こうしたこと事から、もし病気の苦しみに対処したいのであれば、あなたは、仏陀に見習い、禅定、観智、聖道智、聖果智に相応する増上心を育成しなければなりません。

#214-150915

問15-5 どうして、お腹一杯食べ、十分に寝ても、いざ座禅・瞑想すると、昏沈がひどく、夜にはまたお腹がすくのですか?

答15-5 昏沈や眠気怠惰は、身体的な要素と心理的な要素によっています。身体的要素で言えば、四大の不均衡が昏沈を生みます。地大または水大が過度に強い時、とても眠くなります。というのも、この二者とも、重いという本質を持っているからです。反対に、火大又は風大が過度に強い時、あなたは不眠になり、眠れなくなります。我々の身体の四大は、ずっと変化し続けており、それらが永遠にバランスを保ち、調和している状態であるようにと、期待する事はできません。特に、我々が新しく環境がかわった時とか、新しい生活様式になった時には。しかしながら、このような不調な現象は、通常は一時的なもので、身体は自分で調整するものなのです。座禅・瞑想中に寝てしまわないように、食後に、少し寝た方がいいかも知れません。

心理的な要素で言えば、あなたの心が不活発である時、昏沈睡眠の煩悩の侵入によって、疲れと眠気を感じます。このような昏沈睡眠を退治する為には、修行における精進心と濃厚な興味を引き出す事です。あなたは生・老・病・死の苦、四悪道の苦、過去世と来世に輪廻する苦及び現在の、食べ物を確保する苦を思惟する事を通して、修行のチャンスを逃してはならないという策勵心(saṁvega懼れ)を起こす事ができます。その後に、仏法を修行する事によってもたらされる大利益、たとえば、現在の安楽、未来の善処への転生と一切の苦痛からの究竟解脱の獲得などを思惟する事もできます。このような思惟は、修行への精進心と濃厚な興味を引き起こす事ができます。あなたの定力がますます深くなった時、昏沈睡眠の煩悩は、徐々に改善されるでしょう。

また、昏沈を減らす、7つの方法を運用する事もできます:あなたが何かの業処(たとえば、安般念)に専注している時に昏沈睡眠の現象が発生したならば、あなたは一時的にその業処に専注するのをやめて、その他の業処、たとえば仏随念、慈心観などに専注してもよいです。もしこのようにしても、いまだ昏沈を取り除けないならば、あなたはかつて覚えた教え(pariyatti-dhamma)を思惟して下さい。もしこれでも昏沈が取り除けないならば、あなたは以前覚えた教えを暗唱・朗読して下さい。これでも昏沈が取り除けないならば、あなたは力一杯耳を引っ張り、四肢をさすって下さい。それでも昏沈を取り除けられないならば、色々な方向、遠くへ目をやるか、星空を見て下さい。もしこれでも昏沈が取り除けられないならば、光明想(ālokasaññā)をするべきです。それでもだめならば、行ったり来たり、行禅をしてみてください。あなたの定力が深くなればなる程、徐々に、昏沈は克服されるでしょう。

飢餓は、身体の消化の火が強いのが原因です。もう一つは、あなたはまだ夜に食事を取らないという生活(テーラワーダの寺院では午後以降、食事しない=訳者)に慣れていないのかも知れません。この種の生活に徐々に慣れれば、あなたは、夕食を取らなくても大きな問題はない事が分かります。(完)(翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)

 

初めてご来訪の方へ:上記は、台湾より請来した「禅修問題与解答(パオ禅師等講述)」(中国語版)の翻訳です(仮題「パオ・セヤドー問答集」)。「智慧の光」「如実知見」の姉妹版として、アビダンマ及びパオ・メソッドに興味のある方のご参考になれば幸いです。(一日又は隔日、一篇又は複数篇公開。日本及び海外でリトリート中はブログの更新を休みます。Idaṃ me puññaṃ nibbānassa paccayo hotu)。