Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

ブッダダーサ著「生活の中の縁起」(翻訳文)ー17

縁起の原則

縁起の原則とは以下の通りである:

1)6根と6塵が接触する1刹那毎の中に、解脱(訳者注)に有効な

念、智、がないならば、有(bhava)と生(jāti)が出現する。

2)縁起の言語の中には、苦を受ける人間としての、または苦を滅する

人間としての、「人」「自我」「我々」「彼ら」というものはなく、

輪廻の中で流転する人もいない。

3)縁起の言語の中で、「楽」はなく、ただ「苦」と「苦の止滅」

しかない。というのも「楽」は常見の拠り所であるから。故に、

縁起の中では「楽」という言葉は出てこない。日常用語で解説

する時にのみ、不苦の状態を「楽」と言う。例えば「涅槃は

無上の楽」などと言う。これは、道徳上の教えに便利だからである。

(つづく)

(訳者注)<解脱>という言葉は、日本語では、

何を言っているのかもう一つピンとこない、仏教系の

難しい専門用語のように思えるが、中国語なら非常に

簡単に理解できる。解脱とは文字通り「(縄を)いて、

(縛られた状態から)け出す事」。本文の文脈で言えば、

念、智慧がない人は、嫌な事に出会った時に心が動揺し、

かつそれが長期に亘って自己に影響を及ぼすが(これが縄)、

念、智慧がある人は、「嫌な事」「心の動揺」を察知

するや否や、心がそこから脱け出す事が出来る(縄を解いて

するりと身を躱すイメージ)、という事を言っている。

(台湾香光尼僧集団翻訳グループ~タイ語→中国語

原題「生活中的縁起」中国語→日本語 Pañña-adhika sayalay)