縁起の原則
縁起の原則とは以下の通りである:
1)6根と6塵が接触する1刹那毎の中に、解脱(訳者注)に有効な
念、智、がないならば、有(bhava)と生(jāti)が出現する。
2)縁起の言語の中には、苦を受ける人間としての、または苦を滅する
人間としての、「人」「自我」「我々」「彼ら」というものはなく、
輪廻の中で流転する人もいない。
3)縁起の言語の中で、「楽」はなく、ただ「苦」と「苦の止滅」
しかない。というのも「楽」は常見の拠り所であるから。故に、
縁起の中では「楽」という言葉は出てこない。日常用語で解説
する時にのみ、不苦の状態を「楽」と言う。例えば「涅槃は
無上の楽」などと言う。これは、道徳上の教えに便利だからである。
(つづく)
(訳者注)<解脱>という言葉は、日本語では、
何を言っているのかもう一つピンとこない、仏教系の
難しい専門用語のように思えるが、中国語なら非常に
簡単に理解できる。解脱とは文字通り「(縄を)解いて、
(縛られた状態から)脱け出す事」。本文の文脈で言えば、
念、智慧がない人は、嫌な事に出会った時に心が動揺し、
かつそれが長期に亘って自己に影響を及ぼすが(これが縄)、
念、智慧がある人は、「嫌な事」「心の動揺」を察知
するや否や、心がそこから脱け出す事が出来る(縄を解いて
するりと身を躱すイメージ)、という事を言っている。
(台湾香光尼僧集団翻訳グループ~タイ語→中国語
原題「生活中的縁起」中国語→日本語 Pañña-adhika sayalay)