ティッササマーネンの物語~
下記は、建築の仕事に関する物語である:
以前、一人のサマーネン(=沙弥)がいた。名をティッサ(Tissa)
という。
彼の戒師は、スリランカ東部のティッサ市の大寺院(Tissamahāvihāra)
にいた。
ある日、ティッササマーネンは、彼の戒師に報告した:「尊者、私は
梵行の修行が好きではありません。」
戒師は、サマーネンの心の傾向と、どのような修行が彼に合うかを
理解したので、サマーネンに言った:「このお寺は、シャワーに使う
水が足りない。私をチッタラ山に連れていけ。」
サマーネンは言われた通りにした。
チッタラ山に着くと、戒師は言った「寺院はサンガ全体で使うものだ。
サンガの品物を使う責任は重い。私専用の住まいを建ててくれ。」
サマーネンは答えた:「承知しました、尊者」。
こうして、戒師はサマーネンに、同時に三種類の仕事をするように
言いつけた。
一、《相応部》の経典を学ぶ事。
二、山の中の洞穴を綺麗に片付ける事。
三、火遍処の修行を開始する事。
《相応部》の経典を学び終え、洞穴の整理も完成し、かつ火遍処も
ジャーナに到達できるようになった時、彼は、戒師に任務の完成を
報告した。
戒師「サマーネン、あの洞穴は、君が苦労して片付けたものだ。
今日、君が先に、一晩そこで休みなさい。」
その日の夜、サマーネンはその洞穴で過ごした。
洞穴は涼しくて修行するに都合よく、サマーネンは観禅の修行をし、
阿羅漢果を証悟し、かつ、その場で般涅槃に入った。
人々は、彼の遺体を火葬にした後、彼の遺骨舎利を供養するために、
塔を建築した。
それから今日に至るまで、人々はこの塔を「ティッサ長老塔」と
呼んでいる。
(= )訳者。(つづく)
(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)
中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)