南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-193

問4-8:

南伝の比丘は、輪廻における生死の流転の中で必要とされる福報を、どのようにして、育成するのでしょうか?

中国では「今生において道を究めなければ、

(+来世において)毛むくじゃら、角の生えた(+動物に)なって、借りを返さなければならない」と言います。

出家者が、福報を使い果たすか、または不足のために、来世は落ちぶれて乞食をする、などということがありますか?

凡夫の比丘は、己がまた再び人間として生まれ、出家して修行ができることを、どのようにして確定・確信しますか?

答4-8:

仏陀の教えによると、比丘には二つの責任がある:

一、経典の研究。

二、阿羅漢果を証悟するまで、止観を修習する事。

比丘が上記のどの一項を選択しても、持戒が清浄である事は、絶対に必要である。

彼は別解脱律儀戒、根律儀戒、活命遍浄戒と資具依止戒を遵守しなければならない。その意味は、彼には、徳行が必要であるという事である。

彼が施主から供養を受けた後、頂いてきた物品を、一緒に修行している比丘、サンガまたは仏陀に布施・供養することができる。

このように、彼のような有徳の比丘が、如法に得た物品を、徳行のある受取人に布施する場合、彼の布施は、崇高で、かつ大きな果報を齎すことができる。それは、インダカがアヌルッダ阿羅漢(arahant Anuruddha)に布施した、あの一匙のご飯のように、である。

また、彼は受け取った花をもって、仏陀に供養することができる。彼が寺院内部の義務、たとえば、掃除、サンガの建物などの清掃などをするとき、彼はまさに上等の福報を蓄積しているのである。

彼が上座の比丘を礼拝しているときもまた福報を蓄積している。

このように、南伝の比丘は、常に、上等の福報を蓄積する機会があり、それを彼は、彼の生死輪廻の資糧とすることができる。

実際、彼はどの在家者よりも更に殊勝な、福報を蓄積する機会を有しているのである。

もし、彼が二番目の責任を引き受けたならば、彼は必ず、止禅と観禅の修行に専念しなければならない。もし彼が、徹底的に縁起の法(12縁起)を修行することができるならば、最も良いのは、その修行が行捨智まで到達することである。そうすれば、彼は次の生では、悪道に生まれ変わることはない。これは、来世において、彼は比丘になる機会が大いにある事を、意味している。

もし彼が、止禅の修行をしてジャーナに到達し、かつ臨終のその一刻までジャーナを維持することができたならば、彼は梵天界に生まれ変わる。

このように、彼にはどのような道も、果もないけれども、彼の布施、持戒、ジャーナ、観智などの善業によって、来世において、人間界、天界、または梵天界に生まれ変わることができる。

これは、業果の法則によって発生する現象である。しかし、もし彼がいまだ縁起の法を修行しておらず、臨終のときに悪業が熟したならば、彼は依然として、悪道に生まれ変わることになる。

問4-9:

指導者の指導を受けたことのない修行者は、

己一人で、経典に基づいて修行することはできますか?

または、経典に基づかずに、行捨智まで一人で修行することはできますか?

修行者は、どのようにすれば、己がすでに行捨智を証悟したのだと、知ることができますか?

答4-9:

若し、この修行者が、菩薩またはパーチェカ仏である場合、彼は師なくして自ら通ずることができる。特に、彼が正等正覚またはパーチェカ菩提を証悟しようという最後の一生においては。

その他の人々、もし彼がら仏陀の教えに精通しているのであれば、彼らは経典に従って、行捨智まで修行することができる。

パーリ経典に精通している人は、順序に従って修行して、徐々に成長していけば、己が行捨智に到達したのは、自分自身でわかる。

問4-10:

すでに阿羅漢果を証悟した聖人は、他人が阿羅漢果を証悟したかどうかを知る事はできますか?

答4-10:

もし彼が他心通を有しているならば、他人の心の念を知ることのできる神通を有しているので、他人が阿羅漢であるかどうかは、わかる。もし、彼に他心通がなければ、上記の事を、知ることはできない

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(つづく)

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<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>