「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)4-44
<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
直観によって、アチャン・コンマは、彼女の深くて厚い定力を、外界の境界を追求し、色相(=物の形)に執着することから、全面的に、己自身を観察することに、転換しなければならない事を知った。
以前の教師が、肉欲の捕虜となった事から、彼は、メーチ・ケーウに、己の身体を観察する事から始めるよう、求めた。
アチャン・コンマは、彼女に、観身の法門を修行するように勧めたが、それは、頭髪から、体毛、爪、歯、皮膚と始めて、人体にあって、人を悪心させる所の特徴と不浄の性質に専注する、というものであった。
その後に、引き続き、内部への観察を続ける。
それは、筋肉、筋・腱、骨、骨髄、腎臓、心臓、肋膜、脾臓、肺臓、小腸、大腸、胃、糞便、胆汁、痰、膿、血液、汗、脂肪、涙、皮脂、唾液、関節液、鼻水と尿であった。
彼はメーチ・ケーウに、彼女は必ず、彼女を魅了する所の、外部にある現象に意を注ぐ事を、止めねばならず、その反対に、彼女が執着して、己自身だと見做している所の、色身の内部に向かって、一心に専注して、身体の、色々な部位を、研究するべきだ、と強調した。
メーチ・ケーウは恭しく彼の話を聞き、特段、異議を申し立てなかったが、しかし、心内では迷いが生じて、アチャン・コンマの考えに同意することができなかった。
彼女に言わせれば、内部に専注することは、すなわち、心が寂静の境界に入るまで反復して、”ブーーッダ” と誦える事に、他ならなかった。
このやり方は、アチャン・マンがもう随分以前に、教えた方法であった。
メーチ・ケーウは頑迷に、修行の方法を変えたくないと思い、また、己はすでに、禅の修行方法を知っているという確信があった為、アチャン・コンマの指示を、真剣に受け止めなかった。
効果がこれまで程には良くなく、失望する事があっても、彼女は執拗に、これまで通りの方法で修行を続けた。
時間が経つにつれ、彼女の心は、まずます禅定に入りにくくなった。
己の修行方法に固執する気持ちによって、何か月間も、彼女は、彼女の心における入定を、妨げられた。
(4-45につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」 Dhammavamsa Publication
中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>