南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)5-12

    <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 

今回、彼女は完全にこの原則を守り、一心に ”ブーーッダ” と念ずることに、専注した。

念じ念じて、妄想が無くなると、意識流が心中の一点に集まって来た。

先ほど誓ったばかりの、誓願の強力な力によって、彼女は、覚知から身体が消失するまで、一点に専注し、その後、心は完全に静止して、動かなくなった。

深い定から少しばかり出て来ると、彼女は即刻、一つの禅相を見たが、それは仏法の兆しであった。

彼女は心眼を開けると、アチャン・マハブーワが鋭利な刃物を持って、彼女に近づいてくるのが見えた。彼は、彼女に刃先を向けると、今から、正確な観身の方法を教える、と宣言した。

次に、彼は、彼女の身体を、条理整然と一片づつに切断した。

彼は、鋭利な刃物でもって、一刀一刀、肉体を解剖し、どんどん細かく切っていった。

メーチ・ケーウは、目を見開いて、己の身体が分解されて、地面に落ちていくのを見て、驚いて茫然となった。

彼女は、アチャン・マハブーワが更に、各部分を細かく切り刻むのを見ていたが、最後に、地面が、肉と骨と筋で一杯になった。

彼は、メーチ・ケーウの内なる覚知に問うた:

”これのどの一片が人間か?

一片一片、手に取ってごらん。

どの一片が女性か?

どの一片が男性か?

どの一片が魅力的か?

どの一片が美しいか?”

この時、彼女の眼前には、血と肉が、乱雑に取り散らかり、悪心がした。

思えば、己は、長い間、それらを捉まえて放さなかったが、今この時に、非常に、気持ちが悪く感じられた。

彼女は引き続き、四方八方に散乱した残骸を見ていたが、最後には、何も残らなかった。

ちょうどこの時、彼女の心は、内部へと戻って行き、意識は明確に内側に向かって流れ、サマーディの根本へと戻って行った。そして、メーチ・ケーウという存在の中心へと集まり、後に残されたのは、単純で調和のとれた覚知の存在のみであった。

能知(=知るもの、知る能力)の核心は、精緻で微妙で、描写するのが難しく、それはただこのように知られるーー心霊の奥深い所に漲る、内在的覚知である、と。

(5-13につづく)

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」Dhammavamsa Publication 

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>