<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
③
ネン:
修行の様子はどうですか?
学生:
私は、以前は妄想が比較的多かったですが、今は修行がよく分かるようになりましたーーその為に、私は、vipassanaについて、いとこや、知人に、話して聞かせたいと思います。
ネン:
あなたが妄想するのは、<今・ここ>を離れたからです。あなたは、どうしてあなたが<今・ここ>から離れるのか、その理由が分かりますか?
あなたは功徳を積みたいと思い、たとえば、他人に vipassanaを話し、教えたいと思っています。
あなたは妄想は、どのようにすれば消えると、思いますか?
学生:
横になって、色身を観照していた時、妄想は自然に消えてなくなりました。
ネン:
もし、あなたが身体を観る事に時間をかけると、あなたは、色身の真相を、見る事ができるでしょう。
もし、身体を観る事に少しの時間をかけると、少しの真相を発見するでしょう。
あなたは、照見する事が益々多ければ、発見する事も、益々多くなります。
しかし、観照する時間が長すぎると、あなたの覚照力は低下します。
このような時は、少し休んで、その後に、観照を再開すれば、覚照力は上昇します。
学生:
色身を観照している時、泣きたくなる時があります。
ネン:
あなたはこういう感覚を持っている。
何故であるか、あなたは分かりますか?
あなたは、なぜこのような感覚を持つのかを、知る必要があります。
たとえば、死体を見た時、あなたはある種の感覚を持ちます。または、美女を見た時も、ある種の感覚を持ちます。
あなたは、これらの感受がなぜ生じるのかを、理解するように、(+修行に)チャレンジする必要があります。
解決の方法は、明確な覚照力を保持する事です。
あなたは何をしているのか、この種の現象(泣きたい気持ち)は、どのような時に生じ、なぜ生じるのかを、観照しなければなりません。
たとえば、泣きたいと言う気持ちは、座る色身から、姿勢を変える時に生じるのであれば、それは心が、<今・ここ>から離れた事が、原因です。
もし、あなたが原因を知ったならば、あなたは、なぜ泣きたくなるのかという事の、原因が分かります。
この原因によって、<今・ここ>から離れるのです。
あなた方お二人(質問者は二人)は、似たような問題を抱えています。
しかし、原因は同じで(覚照力が弱い)、あなた方は身・心は不実(=実体が無い)である事を理解しなければなりません。
あなたの中の一人は恐れ、もう一人は、泣きたくなる・・・しかし、修行に関しては、お二人は進歩しています。
一切法とは、色法と心法の二法であって、その外に、何らか他のものが、ある訳ではありません。
あなた方が修行する時、法を見なければなりません。座っているのは私ではなく、自我でもない。
我々の修行の方式は、座っている色身を観照するもので、もし、あなたがただ座っている姿を観照するだけで、何が座っているのかを知ることがないのであれば、あなたは法を見ていないし、法を分かってもいない、という事です。
あなたが法を理解したという時、それはあなたが、身とは何か、心とは何か、が分かった時です。
世間には多くの法がありますが、これらの法は、みな、色・心の二法に帰結されます。
もし、あなたが身・心をもって、それを所縁としないのであれば、あなたは、vipassanaを修行している事にはなりません。
学生:
私が修行する時、どのようにすれば、貪欲相応を避ける事ができますか?
ネン:
身・心は、我々の欲求によって顕現するのではありません。
それらは、自然に生じるのです。
我々は、意識的に創造して、身・心を顕現させたりする事は、出来ないのです。
たとえば、聞くという作用が生起する時、我々は、聞きたいから、聞いている訳ではありません。
故に我々は、この<聞く>という作用を利用して、智慧の啓発に使う事ができます。
この種の智慧は、心が聞いている(私が聞いているのではない)を知る智慧です。
もし、身・心が、あなたの欲求に従って顕現するものであるならば、それは真正なる身・心ではありません。
こうした事から、あなたは、姿勢を変える時に、その原因を明確にし、たとえあなたが、姿勢を変えたくないと思っても、あなたは変えざるを得ないのです。
このように(+よくこのことを知っていれば)貪欲の生起するのを防ぐことができますし、もし、修行中に、煩悩と相応しなければ、智慧は自然に誘発されます。
(<「身念処」アチャン・ネン著/翻訳終了)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājem>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<原題「身念処」Vipassana Bhavana 第二版 アチャン・ネン著
中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>