<やれ打つな、蠅が手をする足をする>(小林一茶)
いや~、この句のどこがいいのか、と思っていましたが、最近、「う~~ん、一茶さま、やるなぁ」(笑)
私が、緬甸のモーラミャインの僧院で修行していた時、熱帯地方ですから、勿論、蚊がでます。
私たちは、つりさげ方式の一人用蚊帳か、ベルの形をした置き型の蚊帳(<蠅要らず>の大きいヤツ)に入って座禅・瞑想します。
時々、蚊がぶ~~んと座禅堂に入って来て、なかなか出て行かない時があります。
セヤドー方のダンマ・トークを聞くときは、蚊帳の中に入っていては失礼ですから、蚊帳は片付けますので、身体は蚊の攻撃にさらされます。
そういう時、緬甸の人々は、小さなカップを持って、蚊が壁に止まると、すかさずカップの中に囲いこんで、その後に外に放出します。
また再び入ってくるかもしれないのに、殺す事はしないのです。
そして、「蚊なんて、自分が少し、血を分けてあげればいいのだから」といって、平然としている人もいます。
私はそれが出来ずに、蚊を見ると、親の仇のように、蚊取り線香に火を付けるのですが、もう、殺意満々です(笑)。
この件を今春、クムダ・セヤドーにご意見を伺いましたら、蚊取り線香を付けるのは構わないが、「死んしまえ!」のような、強烈な敵意は心に収めて、「線香をつけるので、近くに来ないで下さい。」くらいにしておきなさい、との事でした。
刺された後のかゆみを想像して、刺される前から怒っている私、心の狭い事、この上ない。
<やれ打つな、蚊だって生きていきたい、あなたと同じ>(おそまつ)。
<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院/Pañña-adhika Sayalay>