『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(3-61)
<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
<注31>
パオ・セヤドーは、ある種の人々が、vipassanā の修習をする時、色法を観照しなくてもよいのだ、と主張している点について、度々言及している。
仏陀は《大牧牛者経》(Mahāgopālaka Sutta)の中において、以下の様に言う:
”比丘たちよ。
比丘が色を知らないという事(na rūpaññū)とは、どういう事か?
ここにおいて、比丘たちよ。
比丘が、すべての色、一切の色に(+関して)、(+それが)四大種である事、及び四大種所造色である事を、如実に了知しない(yaṃ kiñci rūpaṃ sabbaṃ rūpaṃ cattāri mahābhūtāni、catunnañca mahābhūtānaṃ upādāyarūpanti yathābhūthaṃ nappajānāti)。
比丘たちよ。
この様な比丘は、色を知らないのである。”
この種の状況に関して、仏陀は彼の事を
”この法において、この律において、増長する事はできず、増広する事はできず、広大する事はできない(abbabbo imasmiṃ dhammavinaye vuddhiṃ virūḷhiṃ āpajjituṃ)。”
と言う。
義註の註釈では、彼は、この仏の教えの中において、戒、定、観、道、果と涅槃において、増長する事ができない(imasmiṃ sāsane sīlasamādhivipassanāmaggaphalanibbānehi na vaḍḍhati)、と言う。”
《相応部・第三沙門婆羅門經》(Tariyasamaṇabrāhmaṇa Sutta)の中において、仏陀は以下の様に言う:
”比丘たちよ。
もし誰か、沙門または婆羅門が、
地界を了知しないならば(pathavīdhātuṃ nappajānanti)、
地界の集を了知しないならば(pathavīdhātusamudayaṃ)、
地界の滅を了知しないならば(pathavīdhātunirodhaṃ)、
地界の滅に至る道を了知しないならば(pathavīdhātunirodhagāminiṃ paṭipadaṃ)・・・
水界を了知しないならば・・・
火界を了知しないならば・・・
風界を了知しないならば・・・
風界の集を了知しないならば、
風界の滅を了知しないならば、
風界の滅に至る道を了知しないならば、
比丘たちよ。
私は、この様な沙門または婆羅門が、沙門中の沙門である事を認めない。
この様な具寿は、現法において、己自身自らの証智によって証悟する事も、成就する事もできない(+故に)、沙門の模範となる事も、婆羅門の模範になる事も出来ないのである。”
(3‐62につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。
<『涅槃証悟の唯一の道』パオ・セヤドー著 (原題「証悟涅槃的唯一之道」)
中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>