<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
《取の縁によりて有》(Upādānapaccayā bhavo)
(取が生起するが故に、有が生起する)
有(bhava)は二種類に分類する事ができる、すなわち:
1、業有(kamma bhava);
2、生有(upapatti bhava)。
業有は生起の因であり、生有は生起(有)である。
来世を獲得する為に、今世において造(ナ)した善業または悪業は、すなわち、業有である。
これは生有の因であり、生起の因でもある。来世において当該の善業または悪業が引き起こす果報四名蘊と業生色は生有(または再生有)である。
これらは生有であり、生起するものである。
生有(すなわち、来世において生起する所の果報名蘊と業生色)を獲得する為、今世において造(ナ)した行=業(すなわち、福行または非福行または不動行)は、業有である。
禅修行者は、必ずや、智でもって、「(無明、愛及び)取を業有と生有の基因として、それら(業有と生有)は生起する」を知見するまで、識別しなければならない。
業有に関して、己自身が来世を獲得したいがために、造(ナ)した善思がもっとも顕著な所の、善名法グループを主として、識別しなければならない。
禅修行者は、已に生起した所の不善思グループを識別する事もできる。
悪行(duccarita)に執着する愛を基因にして、悪行に執着・執取する取は生起する事を識別する;
当該の執取は基因であり、悪業を造(ナ)すか、または不善行が生起する;
その不善業(業有)の為に、未来において、生有という名の五蘊は、悪道において生起する。
已にこの段階に到達した禅修行者にとって、我論取、見取と戒禁取の生起は、非常に少ない。多くは、ただ欲取が生起するだけである。
この欲取は、来世の五蘊、または六所縁、たとえば、比丘の生活または教法天人の生活を執取するものである。
智でもって、「その欲取が生起するが故に、業有または生有が生起する。」を知見するまで、識別しなければならない。
要点
この段階においては、来世を獲得したいがために、造(ナ)した所の無明、愛、取、行及び業を識別するだけである。
故に、来世を獲得するために造(ナ)した(無明)、愛、取、(行と)業の、任意の一グループを(+取り上げて識別すれば)充分である。
これは、あなたが、来世を獲得するために、造(ナ)した多くの業の中において、あなたが最も好きな業を(+修習の目標として)採用すればよいのだ、という事である。
故に;
1、未来に「比丘」がいるまたは、「教法の天人」がいると、錯覚する事。
2、その種の生活を渇愛するのは愛である。
3、愛によって引き起こさる生命を執取するのは取であり、すなわち、欲取である。
4、その欲取を基因として、造(ナ)した所の布施または持戒または禅修の行。
5、業は業有(業力)である。
来世において、業有によって引き起こされた比丘または教法天人の五蘊は、生有であり、それはすなわち、未来の生(jāti)である。
もし、禅修行者が止行者である場合、すなわち、ジャーナを擁する人である時、梵天有または梵天蘊(彼が好むジャーナに付合する梵天界、下等でも、中等でもまたは上等のジャーナでも有り得る)を発願するか、気持ちがそちらに傾いた後、同じ方法を用いて、識別する:
その無明、愛、取、行(ジャーナ)と業によって、彼は、梵天有、または梵天蘊を獲得するであろう。
未来において、いまだ輪廻しなければならない禅修行者は、生有、すなわち、梵天有または梵天蘊を見ることになる。
禅修行者の間に見られる無明、愛、取、行及び業は異なっている。上に述べた比丘または教法天人の識別方法に基づいて、禅修行者は己自身の願または内心の傾向によって、識別の修習をしなければならない。
幾つかの識別方法
1、欲取が生起するが故に、業有が生起する;
欲取は因、業有は果。
2、業有が生起するが故に、生有が生起する;
業有は因、生有は果。
表9-3 : 意門心路過程(略)
(上の表に列記したのは善業有を「業有」とした例である)
しかしながら、禅修行者は彼の名色流の三時の中において、已に生じ、正に生じ、将に生じんとしている善または不善業有を識別しなければならない。
もしそれがジャーナ業有である場合、それはすなわち、以下のものであると知らねばならない:
1、初禅業有=34。
2、第二禅業有=32。
3、第三禅業有=31。
4、第四禅業有=31。
5、無色界禅業有=31。
(10-23につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijubunko.sakura.ne.jp/index.html
<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版 中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>