南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

般若の独り言~仏教徒の矜持

仏教徒は怒らない、怒ってはならない・・・って本当でしょうか?

まず、聖者なら、あまり怒らないだろう、という事は想像が付きます。

悟りを得た聖者は、身体・物質は、素粒子でできていて、それは無常・苦・無我であり、心の働きもまた無常・苦・無我であり、かつそれは縁と因によって生起する事から、己自身を含む、認知、認識の対象や現象に対して怒っても、無意味である事を知っていますから。

しかし、ゴータマ仏陀だって怒る・・・正確には不愉快に感じる・・・事はあった様です。

菩提樹の下で修行され、証悟を得た後初めて、母国、故郷のカビラバットゥに帰った時(凱旋でしょうか?)、

「なに、あの若造が戻ってきたのか?」

と言って、彼を馬鹿にして、母国の人々は、誰一人迎えに出ない、という事が起こりました。

ゴータマ仏陀は、これは仏陀に対する正しい態度ではない、と思い、双神変を示し見せた所、母国の人々は恐れ入って、総出で出迎えたそうです。なお、双神変とは、足から火を、手から水を、同時に吹き出す所の、仏陀にしかできない神通の事です。

間違ったプライド、過度なプライドは、己自身も、他者をも傷つけますが、我々仏教徒は、仏教徒としての矜持はあるはずで、それは保たねばならない。

聖者の矜持、仏教徒の矜持・・・それは、仏の顔も三度まで、または高度な神通となって示される、というわけです。

<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>