Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳(中→日)<実用アビダンマ>(87ー1/2/3)(私家版)

■縁於無明、行生起(無明の縁によりて行が生起する)………              無明は、52個の心所の中の痴心所である。特徴は心の盲目性又は智慧のない事。経典では、無明の事を盲人と同じである、と言う。無明の現象は迷惑(惑い、惑乱する事)、作用は目標の真実の法を覆い隠す又は知ることが出来ない事。例えば、月が、突然漂って来た暗雲によって遮られる様なもの。暗雲は無明と同じく、真実の法を覆い隠し、あなたは月が無いのか、と誤解する。無明は、真実の法を覆い隠すだけではなく、涅槃と四聖諦をも覆い隠し、我々をして、徹底的に四聖諦を理解出来ない様にする。これが無明の作用である。故に、無明が生起すると智慧が消失するのである。。。            経典の中において、無明とは、四聖諦を知らない事だ、と言う。《アビダンマ論》の中において、無明は、八種あると言われている。1.苦諦を知らない。2.集諦を知らない。3.滅諦を知らない。4.道諦を知らない。5.過去の5蘊を知らない(過去世を知らない)。6.未来の5蘊を知らない(未来世のある事を知らない)。7.過去の5蘊と未来の5蘊を(2個ともに)知らない。8.因縁の法則を知らない。業力とその果報を含む。。。。       無明には、二個の意味がある。一個は、知らない事、もう一個は、間違って知る事、錯誤である。。。               無明の縁によりて行ありと言うのは、29個の世間善及び不善心に相応する所の思心所である。。。                12個の不善心の中の思は、「非福行」と呼ばれる。8個の欲界善心と5個の色界ジャーナ善心の中の思も含まれ、それら全体で、「福行」と呼ばれる。4個の無色禅善心の中の思は「不動行」と呼ばれる。。。無明の特徴は、心の盲目又は無知である。作用は迷惑(迷いと惑乱)。現象は目標の真実法又は真実性を覆い隠すか、又は徹底的にそれを知らない事。目標の真実性とは何か?無常、苦、無我である。。。。   ある種の人は、もし更にお金を儲ける事ができたならば、世界で一番楽しい人になるだろうと考えている。これも又無明である。というのも、金銭を基準にして物事を計るならば、大金持ちになった後で、己自身は対して嬉しくない事を発見する。というのも、貪自体の特徴は、満足出来ない、というものであるが故に。西洋の国家は、物質において非常に進歩しているが、しかし、今、多くの西洋人が、最貧国のインドにやって来る。その理由は、人々は、心霊の成長を求めて来るのであり、物質を求めて来る訳ではない。無明は、究極法を徹底的に知ることが出来ないし、又、知らないだけではなく、錯誤するのである。金銭は、人をして犯罪を犯しめる事もある。このことを知らずして、金銭は楽しみを齎すのだと錯覚する。徹底的に煩悩を断じ除いた人こそが、真正の楽しい人である。故に、阿羅漢は、涅槃から出定した後、思わず「非常に楽しい!非常に楽しい!非常に楽しい!」と言うのである。この話は《長老尼偈》において見つける事ができる。。