《仏種姓経》の中の、布施という章では、はっきりと、布施する時
は、受者を上、中、下と分けてはいけない、と言っている。
この経文から、差別の心で受者を選択して布施することは不当であり、
してはいけない事であることが分かる。
しかし、《中部・後分五十経篇・施分別経》の中で、仏陀は、
7種類の、サンガ施と、14種類の、個人施を列挙している。
この経では、だれか一人の受者に布施する個人施は、その善業については、
受者によって差異が生じる・・・最も低いのは動物で、徐々に高くなって
いって、最後は仏陀である、と言っている。
サンガ施については、善業の最も強いのは、仏陀をトップとする
サンガである。
《餓鬼事・安古羅鬼経》では、二人の天神について語られている:
仏陀が33天帝釈天王の座席に座って《アビダンマ論》を開示している時、
二人の天神ーーインダカ(Indaka)とアンクラ(Ankura)が、
仏陀の説法を聞きに来た。
自分より上の天神が法を聞きに来た時、アンクラは、座位を譲らなければ
ならず、その為、彼は仏陀から10由旬離れた場所に移動した。
しかし、インダカは元の座席に座ったまま動かない。
その理由は:
人類の寿命が一万歳であった頃、アンクラは非常に裕福な人で、
その一生の間、多くの普通の人々に食事の布施をした。
その食べ物を煮炊きした場所は、12由旬もあった。
これらの善業によって、彼は天神に生まれ変わった。
しかし、インダカは、アヌルッダ尊者に、スプーン一杯の食事を
布施しただけで、天神に生まれ変わったのである。(つづく)
(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)
中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)