南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

般若の独り言~質問:パオのソータパナの人数は?

ブログの読者の方から、「パオのソータパナ(預流。

初果)の方々は、一体どれくらいいるのか?」

というご質問を受けました。

人数を特定するのは、非常に難しいです。

状況としては、20年前、私が緬甸の東部モーラミャインのパオの本山で修行していた時の体験で、一日二食の食事の準備と配膳をしていた若い出家女性たち(サヤレー)は、すでに<チューラ(小さい)・ソータパナ>で、もう凡夫に戻る事がないので、修行の手を緩めて、僧院の雑用を担当しているのだ、という説明を聞きました(「パオのソータパナ(2)参照」)。

この時、雑用を担当していた若いサヤレーは、10名ほどいたかと思います。

実は、「パオのソータパナ(1)」で出てくる、16観智修行中の男性修行者の話は、4年前、ヤンゴンのモービー分院での体験です。

それを前提に書きますと:

(1)20年前のモーラミャインのパオ本山では、インタビューは男性(山の上)、女性(山の麓)、全く別々に行っていました。

故に、当時のパオ本山において、私が比丘や男性在家者の方々の、修行の進展状況を、知り得る状況にはないです。

4年前、モービー分院では、偶然が重なって、男性修行者が、クムダ・セヤドーに、上記のように報告するのを、見聞きしました。

(2)自分の弟子が、16観智を修行しているのに、己自身は、初禅にも入れない、などとは考え難いので、パオの瞑想指導者は、少なくともチューラ・ソータパナくらいは行っているのではないでしょうか?(あくまで推定です)

では、それ程の、レベルの高い指導者は何人くらい?

相当数いると思います。

パオ・セヤドーがパオ・メソッドを掲げて指導を始めてから、すでに30年くらい経っていますし。

(3)パオでも、他の僧院(タイ等も)でもそうだと思いますが、悟った人(チューラ・ソータパナ以上の人)は、自分で「私はソータパナだ」「私は悟った」などと言わないのです。

特に、比丘の戒律は厳しくて、在家に自分がどこまで悟ったか、言ってはならない、という決まりがあります。

ただ、インタビューは集団で行いますので(男女別々の場合が多い)、横で聞いていて「ハハ―、この人、すごいな」と思う事はあります。

(4)パオ・セヤドーは、自著の中で「初禅~四禅に入れる人で、神通を修行したい人は申し出る様に。私が教えます」と言います(但し、神通そのものは、無常・苦・無我の悟りとは関係がありません。ゴータマ仏陀も「人に神通力を見せるのは、恥じ」と言っています。神通力は神秘でもなんでもないです。)

では、パオ・セヤドーのレベルは?

推し量るのも失礼なような・・・(笑)。

(5)当時、パオ本山には、500~800人の修行がいましたし、国内の分院を含めると、修行に励む比丘、サヤレー、在家の方々は、相当数いると思います。

パオ・セヤドーが現在建設中の、メイミョウのパオ(国際)森林僧院(仏教大学を含む)の定員は1万人と聞きました。

これらの人々を指導する、正式に任命された指導者の方々が、私のような凡夫とは、とても思えませんが(笑)

(6)定義では、涅槃体験をすると阿羅漢ですね(拙訳『阿羅漢向・阿羅漢果』参照の事)。

相当高いレベルまで修行している人で、涅槃体験は未経験という人は阿羅漢向です(『初果』(中国語版)参照。未訳)。

ただ、タイのアチャン・チャー(遷化)のように、阿羅漢と呼ばれるのを非常に嫌う人もいます。ですから、

誰がソータパナ(初果)で、

誰がサターガミ(二果)で、

誰がアナーガミ(三果)で、

誰が阿羅漢(四果)かという事は、ほぼ知ることはできないし、詮索してはいけない事だ、と思って下さい。

(7)己の指導者がソータパナ以上であれば、嬉しいし、信頼して附いていけるとは思いますが、直接本人に確認する事は失礼ですし、ご本人も(戒律の縛りのため)お答えにならないと思います。

指導者の見つけ方は、

指導者ご本人がよく戒律を守っている事(在家の方も、出家比丘の戒律を学び、理解しておくのがベターです)。

自分の質問にきちんと誠実に答えてくれる事。

後は、相性が大きいと思います。

英語の出来る指導者なら、弟子も英語ができて、直接英語で会話ができるのが理想です。

通訳を通して修行するのは、致し方ない面もありますが、コミニケーションは万全ではない、リスクはあると承知しておいて下さい(アビダンマの専門用語を、原稿なし、即興で通訳できる人は非常に少ないです)。

見聞録のレベルですが、修行の参考になれば幸いです(指導者への盲従だけは止めましょう)。

    <緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>