南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(6-25)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

第五節 止の修習における八支聖道

前に述べた通り、止の修習において、禅修行者はまた、八支聖道を育成しているのである、と言える。

如何なる時においても、あなたが、何等の夾雑物も挟むことなく、呼吸の所縁を覚知する時、我々は、この八項目の要素は、既に生起しているのだ、と言える。

それらの所縁は、

遍作相(parikamma nimitta)、

取相(uggaha nimitta)、

または似相(paṭibhāga nimitta)である。

例えば、入出息初禅において、この八項目の要素は、入出息似相を所縁として取るのである。

正語、正業と正命の、三つの戒行の要素は、実際には、入出息似相を所縁として取ってはいないものの、しかし、我々は、それらは(+その内に)含むものと、見做している。

というのも、止の修習の時、あなたは五戒、八戒十戒または、比丘の 227 学処などを、受持しているからである。

この八項目の要素とは、以下の様である:

(1)正見(sammā-diṭṭhi):

智慧でもって入出息似相を覚知する事。

(2)正思惟(sammā-saṅkappa):

尋(vitakka)禅支に相当。

心を入出息似相に投入する事。

(3)正語(sammā-vācā):

事前に受けておいた、虚妄語などを遠離する学処の事。

(4)正業(sammā-kammanta):

事前に受けておいた、殺生などを遠離する学処の事。

(5)正命(sammā-ājīva):

事前に受けておいた、同等の学処。

(6)正精進(sammā-vāyāma):

入出息似相を覚知する事に尽力する事。

心をそれに投入し、それに専念せしめ、それに専注する事。

(7)正念(sammā-sati):

入出息似相に専念し、同時に、その他の要素が入出息似相から離れない様にする。

(8)正定(sammā-samādhi):

入出息似相に専注する事。

これが八支聖道における、八項目の要素が、如何にして、初禅の内において生起するのか、という説明である。

第二、第三と第四禅においては、尋禅支の正思惟(sammā-saṅkappa)が生起しない以外、その他は皆同様である。というのも、それらはすでにこ、れらのジャーナの内において、存在しないが故に。

結び

この四種類のジャーナはまた、色界ジャーナ(rūpāvacarajhāna)とも言う。

というのも、それらは色界地への生まれ変わりを導くが故に。

しかし、仏陀は我々がこのためにジャーナを育成する事を推奨する事はなかったのである。仏陀はジャーナの育成は、観の修習の基礎とする事を推奨した、すなわち、vipassanā の基礎としてのジャーナ(vipassanāpādakajjhāna)である。

観の修習の前において、あなたは更に一歩進んで止の修習を通し定力を強化する(+べきである)。たとえば、十遍、四無色定(+の修習)を通して。

ただ、以下においては、我々は、入出息第四禅を基として、どの様に観を修習するのかを、研究する事とする。

(7-1につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>まで。

<『涅槃証悟の唯一の道』パオ・セヤドー著(原題「証悟涅槃的唯一之道」) 

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>