<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
第五節 止の修習における八支聖道
前に述べた通り、止の修習において、禅修行者はまた、八支聖道を育成しているのである、と言える。
如何なる時においても、あなたが、何等の夾雑物も挟むことなく、呼吸の所縁を覚知する時、我々は、この八項目の要素は、既に生起しているのだ、と言える。
それらの所縁は、
遍作相(parikamma nimitta)、
取相(uggaha nimitta)、
または似相(paṭibhāga nimitta)である。
例えば、入出息初禅において、この八項目の要素は、入出息似相を所縁として取るのである。
正語、正業と正命の、三つの戒行の要素は、実際には、入出息似相を所縁として取ってはいないものの、しかし、我々は、それらは(+その内に)含むものと、見做している。
というのも、止の修習の時、あなたは五戒、八戒、十戒または、比丘の 227 学処などを、受持しているからである。
この八項目の要素とは、以下の様である:
(1)正見(sammā-diṭṭhi):
智慧でもって入出息似相を覚知する事。
(2)正思惟(sammā-saṅkappa):
尋(vitakka)禅支に相当。
心を入出息似相に投入する事。
(3)正語(sammā-vācā):
事前に受けておいた、虚妄語などを遠離する学処の事。
(4)正業(sammā-kammanta):
事前に受けておいた、殺生などを遠離する学処の事。
(5)正命(sammā-ājīva):
事前に受けておいた、同等の学処。
(6)正精進(sammā-vāyāma):
入出息似相を覚知する事に尽力する事。
心をそれに投入し、それに専念せしめ、それに専注する事。
(7)正念(sammā-sati):
入出息似相に専念し、同時に、その他の要素が入出息似相から離れない様にする。
(8)正定(sammā-samādhi):
入出息似相に専注する事。
これが八支聖道における、八項目の要素が、如何にして、初禅の内において生起するのか、という説明である。
第二、第三と第四禅においては、尋禅支の正思惟(sammā-saṅkappa)が生起しない以外、その他は皆同様である。というのも、それらはすでにこ、れらのジャーナの内において、存在しないが故に。
結び
この四種類のジャーナはまた、色界ジャーナ(rūpāvacarajhāna)とも言う。
というのも、それらは色界地への生まれ変わりを導くが故に。
しかし、仏陀は我々がこのためにジャーナを育成する事を推奨する事はなかったのである。仏陀はジャーナの育成は、観の修習の基礎とする事を推奨した、すなわち、vipassanā の基礎としてのジャーナ(vipassanāpādakajjhāna)である。
観の修習の前において、あなたは更に一歩進んで止の修習を通し定力を強化する(+べきである)。たとえば、十遍、四無色定(+の修習)を通して。
ただ、以下においては、我々は、入出息第四禅を基として、どの様に観を修習するのかを、研究する事とする。
(7-1につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>まで。
<『涅槃証悟の唯一の道』パオ・セヤドー著(原題「証悟涅槃的唯一之道」)
中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>