南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』#43-3

問6-4:禅修行者は、入出息念から無色禅(arūpa-jhāna-samāpatti)に入ることはできますか?

または、慈心禅に転換することはできますか?

答6-4:禅修行者は、入出息第四禅から、直接無色禅に入ることはできない。

なぜであるか?

無色定、特に空無辺処禅(Ākāsānañcāyatana jhāna)は、

遍相を除去することによって成就されるからである。

遍相を除去して、残された空間(ākāsa)に専注した後、空無辺処禅の所縁は、ようやく発現する。

禅修行者に、当該の空間が見えたならば、それを徐々に拡大していかねばならない。それが各方面に拡大された時、遍相は消失する。禅修行者は、更に進んで、当該の空間を、無辺の宇宙にまで拡大しなければならない。これが空無辺処禅の所縁である;

そして、それ自身(禅心)は、また、識無辺処禅(Viññāṇañcāyatana jhāna)の所縁である。

そして、空無辺処禅心の不存在は、無所有処禅(Ākiñcaññāyatana jhāna)の所縁であり、無所有処禅心はまた、非想非非想処禅(Nevasaññāyatana jhāna)の所縁である。

こうしたことから、四無色禅は、みな、遍禅の第四禅及びその所縁であることが分かる。遍相を取り除かないのであれば、無色禅を証得することはできない。

故に、もし、禅修行者が、入出息念によって第四禅に到達した後、続いて無色定を証得したいと思うのであれば、彼は先に十遍(限定虚空遍を除く)<注239>の一つを修習して、第四禅に到達しておかねばならない。

この様にして初めて、彼は無色定<注330>に入ることができる。

もし、彼が、入出息第四禅から、慈心(mettābhāvanā)の修習に転換したいと思うならば、彼は、その様にすることは可能である。問題は無い。

彼は、入出息第四禅の光を借りて、慈心の所縁として決めたその人を照見しなければならない。もし、彼の光の強さが足りない時、多少問題が出現するかも知れないが、この種の情況は、あまり多くない。

もし、遍禅の第四禅を証得した後、特に白遍第四禅の場合、彼は、非常に速く慈心ジャーナを成就することができる。

この様なことから、我々は、慈心を教導する前に、先に白遍の修習を教導するのである。<注331>

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>