翻訳『親知実見』#43-2
問6-2:座って修行をする時の資性は、初心者にとって、専注とジャーナに入る能力に影響を及ぼしますか?ある種の禅修行者は、椅子に座って禅の修行をしますが、彼らは、ジャーナに入ることができますか?
答6-2:初心者について言えば、坐っている姿勢が一番よい。しかし、入出息念(ānāpānāssati)について、充分なハラミツを擁する人は、どの様な姿勢においても、ジャーナに入ることができる。善くて、巧みな禅修行者は、どの様な姿勢であっても、禅に入ることができる。こうしたことから、彼らは、ベンチや椅子に座って修行しても、ジャーナに入ることができる。
シャーリプトラ尊者とスブーティ(Subhūti)尊者は、非常に良い例である。
シャーリプトラ尊者は、滅定(nirodhasamāpatti)<注327>に精通していた。彼は、村に行って托鉢する時、供養の品を受け取る前に、一軒一軒の家の門の前で滅定に入り、滅定から出てからしか、供養を受け取ることは、なかった。
これは、彼の習慣であった。
スブーティ尊者は、慈心禅に精通しており、彼は、供養を受ける前、一軒一軒の門の前で、慈心禅に入り、慈心禅から出定した後、ようやく供養の品を受け取った。
彼らは、なぜ、この様にしたのか?
彼らは、施主に最大の利益を得て貰いたいと願ったのである。
彼らは、彼らがこの様に実践すると、無量で殊勝な善業が施主の心路において、生じることを理解していた。
彼らは、施主への慈愛から、この様に実践したのである。こうしたことから、彼らは、立った姿で、入定することができた。
入出息念に関しても、同様な理解ができる。
問6-3:入出息第四禅の対象は何ですか?もし、第四禅には、呼吸がないのであれば、禅相はあるのでしょうか?ないのでしょうか?
答6-3:入出息第四禅には、入出息はないものの、しかし、似相は存在する。入出息似相は、普通の、自然は呼吸によって生じる。故に、所縁は依然として、入出息(assāsa-passāsa)である。《清浄之道》復注の説明<注328>を参照の事。