Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳『親知実見』#43-4

問6-5::自分が死亡する時間を決定(選択)するには、どの様にしたら、よいでしょうか?

答6-5:もし、あなたが、入出息念(ānāpnāssati)を修習して、すでに、阿羅漢道に到達しているのであれば、あなたは、般涅槃の正確な時間を知ることができる。

《清浄之道》では、一人の、経行の時に、般涅槃した大長老<注332>の例を挙げている。

彼は先に、経行の道の上に、一本の線を引き、その後に、彼に同伴する比庫たちに、彼は、あの線に到達した時、般涅槃するのだ、と告げた。

そして、彼の宣言した通りのことが発生した。

非阿羅漢に関しては、もし、彼らが、過去において、縁起(paṭiccasamuppāda)を修習して、過去、現在と未来の因果関係を識別したことがあるならば、彼らもまた、彼らの寿命の限界を知ることができる。ただ、上に述べた様な、大長老の様な正確さには欠ける。

彼らは、正確な時間を知ることはできない。ただ、死亡する大まかな時間なら、知ることができる。

しかし、これらの人々は、己自身の願望に従って死を選択し、かつ般涅槃する訳ではなく、業の法則に従うのである。

シャーリープトラ尊者は、以下の様な偈を読んでいる;

”Nābhinandāmi maraṇaṃ、

nābhinandāmi jīvitaṃ;

kālañca paṭikaṅkhāmi、

nibbisaṃ bhatako yathā”

「私は死にたくない、

私は生きていたくない、

私は(その)時を待っている、

役人が給料を待つが如くに。」

決定した死亡の時間に死亡するのを「決定死(adhimutti-maraṇa)」と言う。

この事は、通常は、はらみつの熟した菩薩にのみ、実践が可能である。

彼らはどうしてこの様にするのか?

彼らが天界に生まれ変わると、そこではハラミツを積むチャンスがない。

彼らは、天界で時間を浪費したくないと思い、故に、ハラミツを積むために、人間社会に生まれ変わる様、決意死を実践するのである。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>