問6-5::自分が死亡する時間を決定(選択)するには、どの様にしたら、よいでしょうか?
答6-5:もし、あなたが、入出息念(ānāpnāssati)を修習して、すでに、阿羅漢道に到達しているのであれば、あなたは、般涅槃の正確な時間を知ることができる。
《清浄之道》では、一人の、経行の時に、般涅槃した大長老<注332>の例を挙げている。
彼は先に、経行の道の上に、一本の線を引き、その後に、彼に同伴する比庫たちに、彼は、あの線に到達した時、般涅槃するのだ、と告げた。
そして、彼の宣言した通りのことが発生した。
非阿羅漢に関しては、もし、彼らが、過去において、縁起(paṭiccasamuppāda)を修習して、過去、現在と未来の因果関係を識別したことがあるならば、彼らもまた、彼らの寿命の限界を知ることができる。ただ、上に述べた様な、大長老の様な正確さには欠ける。
彼らは、正確な時間を知ることはできない。ただ、死亡する大まかな時間なら、知ることができる。
しかし、これらの人々は、己自身の願望に従って死を選択し、かつ般涅槃する訳ではなく、業の法則に従うのである。
シャーリープトラ尊者は、以下の様な偈を読んでいる;
”Nābhinandāmi maraṇaṃ、
nābhinandāmi jīvitaṃ;
kālañca paṭikaṅkhāmi、
nibbisaṃ bhatako yathā”
「私は死にたくない、
私は生きていたくない、
私は(その)時を待っている、
役人が給料を待つが如くに。」
決定した死亡の時間に死亡するのを「決定死(adhimutti-maraṇa)」と言う。
この事は、通常は、はらみつの熟した菩薩にのみ、実践が可能である。
彼らはどうしてこの様にするのか?
彼らが天界に生まれ変わると、そこではハラミツを積むチャンスがない。
彼らは、天界で時間を浪費したくないと思い、故に、ハラミツを積むために、人間社会に生まれ変わる様、決意死を実践するのである。