<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
(D)色が生起するが故に、意処が生起する
五蘊界の中(人界を含む)において、名法は、必ず、それぞれにおいて、依処色が存在する時にのみ、生起することができる。
もし、依処色がないのであれば、それらは生起することができない。
智でもって、この点を知見した後初めて、この段階の識別方法を修習する事ができる。
もう一点の要点は、意処と呼ばれる所の識が生じる時、分離する事の出来ない相応心所もその中に含まれるという事である。
それぞれが、それぞれの依処色に、依存して初めて、これらの心所と意処は、生起する事ができる。
これらの中で、五識とは、各々の処色(たとえば、、過去有分と同時に生起する所の、眼依処、cakkhuvatthu)に依存して生起する所の、意処である。
結生心(=意処)は、それと同時に生起する所の、心所依処色に依存する。
死亡心意処は、死亡心自身から、もとへ向かって数えて、第17番目の心と同時に生起する所の、心所依処色に、依存する。
多くの有分心は、前生心と同時に生起する所の心所依処色に依存する。
同様に、五識を除いて、意界(manodhātu)と意識界(manoviññāṇa dhā tu)と呼ばれる所の意処は、前生心と同時に生起する、心所依処色に依存する。
しかしながら、不分離理(avinābhāva)に基づいて、観禅の段階において、依処色と同時に生起する色法(たとえば、四生色=54または44色等)を、同時に観照しても、問題はない。
識別方法の幾つかの例
1、結生心所依処色が生起するが故に、結生意処が生起する;
結生心所依処色は因、結生意処は果。
2、有分心所依処色が生起するが故に、有分意処が生起する;
有分心所依処色は因、有分意処は果。
(これは禅修行者が識別する有分心の、前の一個の心識刹那の中において、生起した心所依処色である。)
3、死亡心所依処色が生起するが故に、死亡意処が生起する;
死亡心所依処色は因、死亡意処は果。
(これは、死亡心からもとへ向かって17個数えた心と同時に生起した、心所依処色である。)
4、心所依処色が生起するが故に、五門転向意処が生起する;
心所依処色は因、五門転向意処は果。
(これは、有分断と同時に生起する心所依処色である。)
5、眼依処色が生起するが故に、眼識意処が生起する;
眼依処色は因、眼識意処は果。
(これは過去有分と同時に生起する「中命眼依処色」(majjhimāyuka cakkhuvatthurūpa)である。)
6、心所依処色が生起するが故に、受領意処が生起する;
心所依処色は因、受領意処は果。
(これは眼識または五識と同時に生起する心所依処色である。)
7、心所依処色が生起するが故に、推度意処が生起する;
心所依処色は因、推度意処は果。
(これは受領と同時に生起する心所依処色である。)
8、心所依処色が生起するが故に、確定意処が生起する;
心所依処色は因、確定意処は果。
(これは推度と同時に生起する心所依処色である。)
9、心所依処色が生起するが故に、第一速行意処が生起する;
心所依処色は因、第一速行意処は果。
(これは確定と同時に生起する心所依処色である。)
10、心所依処色が生起するが故に、第二速行意処が生起する;
心所依処(ママ)は因、第二速行意処は果。
(これは第一速行と同時に生起する心所依処色である。)
その他の速行意処は、類推の事。
11、心所依処色が生起するが故に、第一彼所縁が生起する;
心所依処色は因、第一彼所縁は果。
(これは第七速行と同時に生起する心所依処色である。多くがこの形状を取る事に注意する事。)
12、心所依処色が生起するが故に、第二彼所縁が生起する;
心所依処色は因、第二彼所縁は果。
(これは、第一彼所縁と同時に生起する心所依処色である。)
13、心所依処色が生起するが故に、意門転向意処が生起する;
心所依処色は因、意門転向意処は果。
(これは前生有分ー有分断ーと同時に生起する心所依処色である。)
これらの方法に基づいて、心路過程の一つひとつの心識刹那を識別する。
六門すべてを識別する。
一つひとつの門の善と不善心路過程を識別する。
(E)名色が生起するが故に、意処が生起する
ここにおいて、個別の、心相応の心所を「名」として取る。
個別の心識刹那の名法が依存する所の依処色(主要な)、及び分割することのできない色法(たとえば、54色または44色)を「色」とする。
智でもって、関連し合う名色が意処を支援するのを知見した後、以下の通りにそれらを識別する。
因に属する名(すなわち、心所)と果に属する意処は、同一の心識刹那において、同時に生起する所の相応法である。
前に述べた通り、依処色の多くは、意処(果)の前生法(purejāta dhamma)である。結生の時、それは俱生法(sahajāta dhamma)となる。
識別方法の幾つかの例
1、結生名色が生起するが故に、結生意処が生起する;
結生名色は因、結生意処は果。
2、有分名色が生起するが故に、有分意処が生起する;
有分名色は因、有分意処は果。
3、五門転向名色が生起するが故に、五門転向意処が生起する;
五門転向名色は因、五門転向意処は果。
4、眼識名色が生起するが故に、眼識意処が生起する;
眼識名色は因、眼識意処は果。
5、受領名色が生起するが故に、受領意処が生起する;
受領名色は因、受領意処は果。
6、推度名色が生起するが故に、推度意処が生起する;
推度名色は因、推度意処は果。
7、確定名色が生起するが故に、確定意処が生起する;
確定名色は因、確定意処は果。
8、第一速行名色が生起するが故に、第一速行意処が生起する;
第一速行名色は因、第一速行意処は果。
9、第一彼所縁名色が生起するが故に、第一彼所縁意処が生起する;
第一彼所縁名色は因、第一彼所縁意処は果。
10、意門転向名色が生起するが故に、意門転向意処が生起する;
意門転向名色は因、意門転向意処は果。
これらの方法によって識別する
色所縁を目標に取る眼門と意門心路過程を識別する。
声所縁などなどを目標に取る心路過程を識別する。
六種類すべての心路過程の、一切の善と不善速行心路過程を識別する。
また、五門転向、確定、速行と意門転向を識別して、如何なる究極界も見落としのない様にする。
(10-19につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijyubunko.sakura.ne.jp/index.html
<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版 中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>