南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」6‐22(168/430)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

11.2 28種類の色法

1~4。四大種(mahā bhūta)、すなわち:四界(四大)

1、地界(pathavī dhātu):

   重地(gaupathavī):硬い、粗い、重い

   軽地(lahupathavī):柔らかい、滑らか、軽い

2、水界(āpo dhātu):流動性、粘着性

3、火界(tejo dhātu):熱さ、冷たさ

4、風界(vāyo dhātu):支持性、推進性

5~9.五浄色(pasāda rūpa

1、眼浄色(cakkhu pasāda)

2、耳浄色(sota pasāda)

3、鼻浄色(ghāna pasāda)

4、舌浄色(jivhā pasāda)

5、身浄色(kāya pasāda)

10~13。7境色(gocara rūpa):

1、色彩(vaṇṇa)

2、声(=音)(sadda)

3、香(gandha)

4、味(rasa)

5、触(phoṭṭhabba)(地、火、風)

地、火、風の三界は、触界を構成する。もし、それらを三境とするならば、合計7境色となる。28種類の色法を数える時、触は含まれない。というのも、触境色の地、火、風の三界は、すでに四界に列記されているが故に。

14,15。性根色(bhāva rūpa)二種類ある:

1、女根色(itthī bhāva rūpa

2、男根色(puris bhāva rūpa

一人ひとりは、その中の内の一つの性根色をのみ有する。女性は女根色のみ、男性は男根色のみを有する。性根色は全身に分布する。

16。心色(hadaya rūpa

心色とは、意界と意識界が依存する所の色法であり、それらが安住する処であり、故に心所依処と呼ぶ。それは心臓の内部の血液の心色十法聚において、散じて置かれる。

17。命根色(jīvita rūpa、jīvitindriya)

この色法は全身に散布しており、それは業生色(kammaja rūpa)の生命を維持する。

18。食色(āhara rūpa

段食(kabaḷinkāra āhara)は、食物の中の食素(ojā)である。一切の色聚の中においては、みな食素色(ojā rūpa)があるが、それはすなわち業生、心生及び時節生の色聚の中においても存在している。

それら食素は、それぞれ業生食素(kammaja ojā)、心生食素(cittaja ojā)、及び時節生食素(utuja ojā)と呼ばれる。

禅修行者が混乱しない様に、以下に説明する:

食物が消化されて後、その「食素」が産する所の食素八法聚の中の食素のみが、食生食素(āhāraja ojā)と呼ばれる。

言い換えれば、胃の中においていまだ消化されていない食物の食素は、時節生食素(utuja ojā)に過ぎない。

命根九法聚の消化の火を通して、すなわち火界の支援の下、食物は消化され、結果、新しい食素八法聚が生まれる。

これらの色聚は、食生食素八法聚と呼ばれるが、その中の食素は食生食素と呼ばれる。

上に述べた18種類の色法は、また、以下の様にも呼ばれる:

一、「自性色」(sabhāva rūpa)、それらの一つひとつは、自生相、すなわち硬さ、粗さなどを擁しているが故に。

二、「有相色」(salakkhaṇa rūpa)、それらはみな、一切の名色法における共相を擁しているが故に:

生・滅によって「無常」であり、生・滅の圧迫を受けるが故に、「苦」であり、永恒不変の実質を持たない、または(+それは)我ではないが故に、「無我」である。

三、「完成色」(nipphanna rūpa)、それらは業、または心、または時節、または食を因として、生起するが故に。

四、「色色」(rūparūpa、真実色)、それらの強度が不断い変化している、熱いから冷たいへ、硬いから柔らかいへ、などなど。

五、「思惟色」(sammasana rūpa)、観禅の目標として相応しいが故に、またそれらを無常・苦・無我として観照することができるが故に。

後に説明する所の、残り10種類の色法(19~28)と、上に述べた18種類の色法は、(+その性質が)反対であり、

一、無自性色(asabhāva rūpa);

二、無相色(alakkhaṇa rūpa);

三、非完成色(anipphanna rūpa);

四、非色色または非真実色(arūpa rūpa);

五、非思惟色(asammasana rūpa)である。

19.制限色(pariccheda rūpa)、すなわち:空界(ākāsa dhāthu)

一つひとつの色法は、みな、その他の色法と一体に混ざり合う事がなく、其々に限界を持つ。この限界及び色聚(+と色聚)の間の空間を制限色と言う。

20、21.表色(viññatti rūpa)二種類ある:

1、身表(kāyaviññatti)、すなわちコミュニーションとしての身体動作。

2、語表(vacī viññatti)、すなわち、話をする時の動作。

他人が我々の考えを知ることができる動作を、表色と呼ぶ。身表は、身体の動作でもって、己自身の考えを表現する事を言う、たとえば人に向かって手招きするなど。

語表は、言語によって己自身の考えを表現する事、たとえば「ここに来てください」と人に呼びかける等。身表と語表は、心によって造られるが故に、それらは無生物(たとえば録音テープ)の中においては存在しない。唯一、有情の言葉の音と身体動作の中に存在する。

22~24。変化色(vikara rūpa)は五種類ある:

1、色軽快性(lahutā):心生、時節生、食生真実色の軽快性。

2、色柔軟性(mudutā):心生、時節生、食生真実色の柔軟性。

3、色適業性(kammaññatā):心生、時節生、食生真実色の適業性。

色軽快性、色柔軟性、色適業性の三色に、上に述べた身表と語表の二色を加え、合計五種類の変化色となる。

25~28。相色(lakkhaṇa rūpa)には四種類ある。

1、色集積(upacaya):

(a)その特徴は、一生のうちの初期の真実色の生起(upādā、生時)である。

(b)それは諸根を成長、完成させ、また、適当な色法を、充分な程度にまで(+のレベルに)到達せしめ、かつ、継続して成長せしめる。

2、色相続(santati):

諸根の完成から死亡までの間の、真実色の生起(生時)を「名相続」と呼ぶ。

色法の生起に関して、仏陀は一生を二つの時期に分けて指導している。一個は、妊娠から眼、耳等の諸根が完成する時期に生起する色法であり、もう一つは、諸根が完成した後に生起する色法である。

この二種類の色法は真実色法の生起であると言える。

3、色老性(jaratā):

真実色の成熟または老化、すなわち真実色の住時。

4、色無常性(aniccatā):

真実色の壊滅、すなわち壊滅時(bhaṅga)。

18種類の真実色に、10種類の非真実色を加えると、合計28種類になる。

その内、地、水、火、風は、界(dhātu)、または大種(mahā bhūta)または種色(bhūta rūpa)と言う。

その他24種類の色は、所造色(upādā rūpa)という、というのも、それらは四大界に依存して生起するが故に。

6‐23につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijubunko.sakura.ne.jp/index.html

<中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>