南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』#2-2

今回、この書籍に対して中国語の重訳を行った際、その書名に、旧版の《如実知見》を用いなかったのは、実は「知見」という語彙は、もし、それを名詞として理解するならば、漢文化の伝統的仏教の語感においては、多少蔑むの義が有される、すなわち、「知見」とは、「己自身の思慮分別に依って、立てた見解。智慧とは別物。智慧の般若とは、無分別智で、思慮分別とは離れている心識である。」とする(《仏学大辞典》)。例えば、禅宗のいう所の「知見に落ちる」云々。

本書の英語版の原題は ”Knowing and Seeng”  で、それは強くて力のあるジャーナを基礎として育成された慧眼でもって、究極名色法及びその因・縁の自性相(各種の特徴)、及び無常・苦・無我の共相(共通の性質)を、己みずから了知(Knowing)、如実知見(seeng)し、かつ、この種の親知実見(己みずから知り、己みずから実際に見る事)を通して、煩悩を断じ除き、涅槃を証悟する、という意味をもつものである。

故に、我々は、この本の書名を 『親知実見』 とした。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>