Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳『親知実見』#39-7

問5-2:理論でもって、無常・苦・無我を覚知するのと、禅定でもって、究極法(paramatthadhamma)を識別するのと、この二種類の方法の内、どちらの方が、比較的容易に、速く、涅槃を証悟しますか?

答5-2:無常とは何か?

無常とはすなわち、五蘊<注296>の事である。

多くの義注では、この定義に触れている。

もし、禅修行者が、五蘊を明晰に照見するならば、彼は、無常・苦・無我を知見する事に関して、問題はない。

しかし、五蘊を照見することができないならば、彼はどの様にして、無常・苦・無我を知見することができるだろうか?

もし、彼が、いまだ、五蘊を照見できないまま、この様な実践にチャレンジしようとするならば、彼の観禅は、ただの念仏式観禅に過ぎず、真正なる観禅ではありえない。

唯一、真正なる観禅のみが、道智と果智を引き寄せることができる。

五蘊とは何か?

それらは、色蘊、受蘊、想蘊、行蘊と識蘊である。

一つひとつの蘊は、過去、未来、現在、内在、外在、粗い、微細、劣等、優秀、遠いと近いの11種類に分類することができる。

色蘊とはすなわち、28色(rūpa)であり、受、想、行の三蘊は、52心所(cetasika)であり、識蘊は、すなわち、89心(citta)である。

28色は、「色」と称し、52相応心所と89心は、合わせて「名」と称する。

故に、五蘊と名色は、同じことであると言える。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>