Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳(中→日)<実用アビダンマ>(86ー1/2)(私家版)

第八章  縁の概要             この章は、二個の部分に分かれる。一番目はは発趣論(24因縁)、二番目は縁起。ここでは縁起の法のみ解説する。        ✥縁起の法✥                縁起の法(Paticcasamuppādanayo−tの下点。以下同様)は、基本的には、生死輪廻の因縁構造の解明、即ち、生死輪廻の維持及びそれをして一つの世からもう一つの別の世に転じせしめる所の、諸々の縁を解明するものである。注疏の中において、縁起は以下の様に定義される:「諸々の果は、諸々の縁の聚合に依存して、同等に生起する。」仏法の中において、一因が一果を生じるとは言わない。又、多因が一果を生じるとも言わない。又、一因で多くの果が生じるとも、言わない。「縁起」というこの一句は、「paticca」(縁において)及び「samuppāda」(正確に生起する)を組み合わせた文字である。その意味は、ある因の縁でもって、その果が正確に生起する、である。縁起の法則とは、:「此れあるが故に、彼あり、此れ生ずるが故に彼生じ、此れ無くば彼無く、此れ滅するが故に、彼滅する。」             人、我、衆生は出て来ない。